総合第1位は開智! 早稲田・東京理科大など5部門でトップ、栄東、山手学院が続く

学校選びで注目したいのが大学合格実績です。大学合格実績は学校の教育力を見極めるのに重要なデータです。ここで注意したいのは、今年の入試結果だけを見て、見かけ上のデータから判断しないということです。過去から今年にかけての動向を追うことによって、学校が伸びる方向にあるかどうかチェックしましょう。ここでは、今年と10年前の進学状況を比べ、伸びている学校はどこかを探っていきます。

【表の見方】
表2と表3を除き、1999年と2009年の合格者数を比較し、首都圏の学校について増加数が多い順に並べた。東大と早稲田大を除き、いずれも大学発表の速報値を使用している。東大と早稲田大については、合格者数を未発表の学校は含まれておらず、判明分だけでの順位である。各表中の◎印は私立、※印は国立、無印は公立をあらわす。


皆さんはどうやって志望校を決めているのでしょうか。楽しい学校生活を送るために、学校に求めるものは何でしょうか。将来やりたいことが勉強できる学校、部活動が盛んな学校、家から通いやすい学校、自分の成績に合った学校――いろいろな基準で学校を見てみることが大切です。

ここではたくさんある基準の中から大学合格実績に焦点を当てて「伸びている学校」を見ていきます。自分の目指している進路とあわせて、学校の合格実績を見てみましょう。その学校の持っている背景や特色が、生徒を送り出す大学の傾向と関係していることも少なくありませんから、合格情報を知ることはその学校のことをよく知るきっかけにもなります。

ただし、前年度の合格実績だけを見て手っ取り早く判断しては、誤った評価をしてしまう可能性もあります。例えば、東大合格者を出した学校があったとして、これが1年限りのものだった場合と、毎年コンスタントに東大合格者を輩出している場合とでは学校の評価は大きく変わってしまいます。前者であれば、たまたま優秀な学生が在籍していただけで学校の指導による実績とは考えにくく、後者であれば「学校の教育力」が高いというのが自然な判断でしょう。教育力の低い学校に、毎年、学力の高い生徒が何人も入学することはあまり考えられないからです。このように、学校の合格実績を正確に知るためには、過去のデータも含めた形で見ていくことが重要です。

ここに掲載した表は、10年前と今年の大学合格者数を比べ、増加人数が多かった首都圏の高校のランキングです(ただし表2、表3は全国の高校を対象としています)。

表1 東大合格者が増えている高校上位20校

 

それでは表1東大合格者が増えている高校から見ていきましょう。

ランキング上位15位に入った21校中、半分以上の12校が中高6年一貫教育の私立校となっています。トップの渋谷教育学園幕張は10年前の12人から倍以上の16人増、しかも、現役合格者も4人から19人と大きく躍進しています。

また、増加数に注目してみると、10年前のゼロから大きく合格者数を伸ばしている学校が目立ちます。5位で11人増の栄東、6位で9人増の渋谷教育学園渋谷などです。このほかにも洗足学園がゼロから4人増やしています。

5位の栄東は埼玉県にある私立中高一貫校で、急激に実績が伸びている一校です。近年は入試でも、中学から東大クラスや難関大クラスを設置して志望校に合わせたカリキュラムを組んでいます。昨年2008年度入試では東大合格4人でしたが、今年はそれをはるかに上回る11人の合格となりました。

また、6位の渋谷教育学園渋谷は渋谷女子高校を前身とした東京都の私立一貫校です。96年に男女共学化、中高一貫校化を行い、現在の渋谷教育学園渋谷となりました。同じ渋谷教育学園を母体に持ち、進学校としての実績を持つ渋谷教育学園幕張のノウハウを活用し、順調に合格実績を上げています。

こんな学校もあります。東大ランキングで台頭してきているのが表1で3位の豊島岡女子学園です。今年の合格者17人中理系合格者が12人を占めています。近年、女子の理系学部進出には目ざましいものがありますが、その流れをいち早くとらえて理系教育に力を入れていることが東大合格者数を大きく伸ばした要因になっています。

表2 2009年全国東大合格者ランキング

 

表2を見てください。今年の東大合格者ランキングベスト20です。ここでも圧倒的に私立校が多く、表の22校中15校を占めています。中でも、28年連続トップの開成をはじめ、2位の筑波大附駒場、3位の、4位の麻布など、22校中13校が男子校です。県立の浦和宇都宮も男子校です。

表1の東大合格者数が伸びている学校では、トップの渋谷教育学園幕張が共学校なのをはじめ、男子校がそれほど多くありません。表1と表2を見比べるとランクインしている学校が全く異なり、表1に挙がっているのは新たに合格実績を伸ばしている学校であることが分かります。

表2へ戻りましょう。表2にランクインしている学校はいずれも進学校として名高く、毎年大学入試では高い実績を上げています。しかし、10年前に比べて東大合格者数が目立って増加しているわけではありません。国公立大全体の志願者が減少しつつある中、東大は依然として人気を集めています。なぜ合格者数が伸びないのでしょうか。

表3 国公立大学 医学部・医学科 現役合格者数ランキング(全国)

ひとつには東大が合格者数を絞っていることがあります。少子化によりこの10年で272人、8%も減らしています。さらに、上位校では医学部の人気が高く、東大の理Iや理IIよりも国公立大医学部を目指す生徒が多いことも一つの要因です。表2と表3を見比べてください。表3国公立大学医学部・医学科現役合格者ランキングです。東大合格者数18位の洛南は、表3の国公立大学の医学部医学科に現役合格した人が48人で1位となっています。2位のは表3では3位ですが、現役占有率(卒業生数に対する割合)は18.5%とかなり大きな割合を占めています。

表3の特徴として、トップ9までの上位12校のうち、首都圏の学校が桜蔭開成の2校のみと少ないことが挙げられ、国公立医学部が首都圏以外の学校に人気があることが分かります。首都圏では地元であるせいか、医学部より東大の人気が高くなっています。根強い人気があるにも関わらず、首都圏の学校で合格者数が伸びない理由には様々な要因があります。入試の傾向として現役志向が強いことです。首都圏では国公立大の定員枠が比較的小さく、早稲田、慶應などの私大であれば就職面においても国公立大を上回るケースさえあります。そのため、浪人すれば東大に合格できる実力があっても、現役進学を優先して早慶などの難関私大に入学する高校生が多いのが首都圏の特徴です。

また、こうした上位校の東大合格者数を違った視点で見ることもできます。2位の筑波大付駒場を見てみましょう。今年の合格者数は106人で、そのうち現役は79人でした。10年前の合格者数は104人で、そのうち現役は68人でした。見た目上は10年間でわずか2人増ですが、現役合格者が11人と大きく増えています。このように、合格者数の増加を量と質で判断していくことも大切です。

学校を取り巻く状況も、注意深く見ていけば合格者ランキングに反映されていることがお分かりになったでしょうか。ランキングをなぞって合格者数を見ているだけでは、伸びている学校は分かりません。

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早慶は首都圏上位校から根強い人気
表4 慶應義塾大合格者が増えている高校上位20校

次に慶應義塾大を見てみましょう(表4参照)。ここでも私立の中高一貫校の強さが際立ちますが、トップは103人増の都立の日比谷となりました。10年前から5倍以上の伸びを見せています。都立校の積極的な学校改革により2001年に進学指導重点校に指定されたこと、東京都が学区を廃止したことで立地の良さに注目が集まったことなどが理由で躍進しました。日比谷は早稲田大の合格者増加数でも6位に入っています。卒業生数が320人に対して、慶應に117人、早稲田に125人が合格しており、いずれの大学でもかなりの割合を占めています。東京に限らず、全国で公立高改革が進められており、今年の他大学の表でも、上位に公立高が名を連ねています。5位の西も都立校で、毎年高い合格実績を挙げています。

2位は東大の増加数でもトップだった渋谷教育学園幕張です。20数年前に創立され、当初の進学実績はあまり目立ちませんでした。それが当時としては珍しいシラバス(授業計画)をはじめとする情報開示を積極的に行うなど保護者からの期待を集め、進学校としての評価を上げたことが短期間での実績アップにつながりました。

3位は豊島岡女子学園です。先ほどの東大合格者増加数3位に続いての躍進です。表2の東大合格者ランキングでは男子校の多さが目立っていたのに対し、東大や早慶をはじめとする合格者の増加数ランキングでは、多くの共学校や女子校が登場しています。以前は女子の進学先と言えば文学部や家政系の学部という傾向が一般的でしたが、近年は社会科学系、理工系、医療系などを含め進路に多様性が出てきています。国公立大、私立大共に女子受験生の進出が積極的になってきており、それが大学合格実績に反映されていると言えるでしょう。

表5 早稲田大合格者が増えている高校上位20校

続く早稲田大では1位の開智が10年前と比べて10倍以上の伸びとなりました(表5参照)。2位は栄東で、上位2校を近年延びている埼玉の2校が占める結果となりました。3位は渋谷教育学園渋谷で93人増です。

この上位3校は先ほどの日比谷同様、いずれも慶應義塾大の増加数ランキングでもベストテンに入っており、両大学の相関関係が浮かびあがってきます。表4と表5を見てみると、ランクインしている学校は全て首都圏にあることがお分かりいただけると思います。

このように、首都圏での上位校に早慶人気が高い理由には、東大をはじめとする難関国立大の併願校として定着していることが挙げられます。先ほども述べた通り、受験生全体に現役志向の色合いが強いことも理由の一つです。

 

 

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理系は男子、文系は女子に人気
表6 上智大合格者が増えている高校上位20校

 

 

表6上智大のランキングです。早稲田大のランキングと同様、栄東と開智が1位と2位を占めました。

カトリック系の大学で英語をはじめとする語学教育に力を入れているため、女子学生の比率が高いのが特徴で、女子受験生から人気を集めています。やはり伸びているのは女子校と共学校が圧倒的に多く、男子校は攻玉社と本郷の2校のみです。これまでの東大や早慶のランキングとは顔ぶれが変わってきていることが注目です。

表7 東京理科大合格者が増えている高校上位20校

 

上智大と対照的なのが東京理科大です(表7参照)。理系総合大学だけあって、男子校の伸びが著しく、上位21校のうちおよそ半数を男子校が占めています。理系分野ではまだまだ男子学生の比率が高いことがうかがえる結果となりました。

ここで目立つのは、表中で唯一の女子校である3位の豊島岡女子学園です。同校が理系分野への女子進出を踏まえ、理系教育に力を入れていることは前述したとおりです。神奈川の上位女子校は文系に強い学校が多いことから、神奈川では理系志向の受験生が同校を志望するケースが増えています。

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就職を視野に入れた志望校選びが主流に

近年では大学受験にも就職という要素が重要性を増してきました。女子の理系学部進出も、手に職をつけることを意識している学生が増えたことが影響しています。医学部、歯学部、薬学部、獣医学部、看護学部、医療技術系学部(理学療法士や作業療法士などリハビリテーションを担当する学部)などがありますが、とりわけトップ層では医学部が人気です。薬学部は2006年から薬剤師国家試験受験資格を得るのに大学で6年間学ばなければならず、人気が急落しました。また、近年の入試では看護やリハビリテーション系の学部・学科の人気も下がり始めていましたが、昨年からの不況の影響で資格を取得できることのメリットに注目が集まり、人気が復活しつつあります。いずれも国家試験合格までは厳しい道のりですが、合格すれば就職は他学部に比べて有利です。

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国公立大志望はしっかりとした入試対策が必要

大学入試の受験生の志望動向では、やはり学費の安い国公立大が人気で、この傾向は首都圏以外の学校で特に強くなっています。国立大では理系と文系の定員を比較すると2:1ぐらいで理系学部の定員が多くなっているため、理系の方が入りやすく“国立大を目指すなら理系”という傾向が強くなっています。

依然として競争率の高い国公立大ですが、全体で見れば近年は志願者数が減少しています。特に今年はセンター試験が難化した影響が強く、国公立大志願者は1万人以上減少しました。

センター試験(大学入試センター試験)とは平成2(1990)年にスタートした国公私立大学共通入学試験のことです。国公立大入試では、センター試験が国公立大1次試験の成績となり、その後大学独自の二次試験を受験して合否が決まります。センター試験が難しくなったために、現役合格を優先して私立大へと志望校をシフトした学生が増えたと考えられているのです。

また、国公立大受験の必須科目が従来の5教科6科目以下から、原則5教科7科目と増えたことも影響しています。以前は私立大受験を中心に考えてセンター試験を受け、その中で3教科で受験可能な国立大に出願することができたのですが、それが不可能になり、国公立大では私立大志望の受験生の受け皿がなくなってしまったのです。

後期試験を廃止する大学が続出していることも大きな原因となっています。本来国公立大では前期と後期、2回の受験機会がありましたが、近年後期は縮小の一途をたどっています。昨年は京大が完全に後期試験を廃止、一橋大も学部によっては後期を廃止しました。東大も今年から理科III類が後期を廃止し、他の科類の定員も100人に縮小しました。国立大が国の行政法人から国立大学法人に独立したため、後期試験を廃止してコストダウンを図るねらいもあるようです。

また、国公立大の二極化も進んでいます。人気のあるところ、ないところがはっきり分かれ始めているのです。東大、京大、東工大、一橋大など難関校の人気は変わりませんが、地方の国立大を中心に人気低下が進んでいます。

前期後期の2回受験できる学校が減り、国公立大の中でも難関校はさらに狭き門となります。私大受験と異なり、試験科目の多い国公立大受験では、学校の通常授業でしっかりと基礎学力をつけ、早期から進路を定めて入試対策を講じることが重要です。今から国公立大を目指している人は、国公立大受験に特化した学校選びも重要になってくるでしょう。受験を視野に入れたカリキュラムを組んだり、進路指導を徹底するなど、学校側も様々な取り組みを行なっています。学校の取り組みに注目して、自分を伸ばしてくれそうな学校を探すことも大切です。

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地元志向が色濃く現れた青山学院大、立教大学部新設など大学の動きにも注意が必要
表8 青山学院大合格者が増えている高校上位20校

合格者ランキングに戻って、表8青山学院大を見てみましょう。

表中ではキャンパスの所在地である東京と神奈川の学校がほとんどで、地元志向が強まっていると見られます。

6年前、人文・社会科学系学部の1、2年生が学ぶキャンパスを厚木から相模原に移転し、あわせて世田谷キャンパスの理工学部も相模原キャンパスに移転したことで、より東京に近くなりました。今後は2012年から文系学部が渋谷の青山キャンパス、理工学部と昨年新設された社会情報学部が相模原キャンパスで、それぞれ4年間学べるようになります。

近年、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)と呼ばれる大学群では、数多くの学部が新設されています。皆さんが大学へ進学する頃にはさらに選択肢が増えていることでしょう。昨年も慶應義塾大が共立薬科大との合併により薬学部を新設するなど、大学では大きな動きがたくさんあります。新学部設立などにより、学部間の協力で新しい分野での研究が始まることもあります。

これから大学で勉強したい分野を念頭において、大学の動きにも注意してみましょう。自分の将来に大きく関わるニュースもあるかもしれません。大学附属校を目指す人は早い時期から大学の情報集めをすることが必要になってきます。また、大学受験を前提としている進学校を目指す人にとっても、大学のことをよく知ることはモチベーションの維持や進路の決定に大きく関わることですから重要です。まだ3年、6年先のことだと片付けないで、自分がどんな大学へ行って何を学ぶのかを考えるようにしましょう。

表9 立教大合格者が増えている高校上位20校

一方、青山学院と同じく地元志向が見えたのが立教大表9)です。90年に埼玉県座間市にキャンパスを新設し、98年には観光とコミュニティ福祉の2学部新設といった改革を行っています。2006年にも大規模な学部学科の新設や改組が展開されたほか、08年には異文化コミュニケーション学部やスポーツウェルネス学科が新設されています。

1位は開智で、2年連続のトップになりました。2位は県立の川越女子、3位は山手学院です。伸びている高校ベスト20では山手学院桐光学園の2校以外はすべて東京か埼玉の学校でした。さらに女子校や共学校が多く、男子校が少ないのも特徴です。2位の川越女子は今年の合格者数が134人で、卒業生に対する割合が42.1%と半数近くになっています。他にも5位の雙葉は89人で50.2%、12位の頌栄女子学院が89人で40.0%と女子校からの根強い人気が現れた結果となりました。

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11大学合計のトップは2年連続で開智1位、2位栄東

表10 中央大合格者が増えている高校上位20校

表11 明治大合格者が増えている高校上位20校

表12 法政大合格者が増えている高校上位20校

表10中央大ではトップは川越東。2位に開成、3位に錦城、5位には桐朋が入りました。開成桐朋といった東大ランキング上位校が増えてきていることがわかります。また、川越東錦城土浦第一千葉東など中学のない私立高が7校もランクインしているのも大きな特徴です。

表11明治大開智がトップとなりました。10年前の2人から153人の合格者増で大躍進となりました。2位は山手学院、3位は栄東でいずれも100人近くの増加です。また、上位20校中12校が国公立校という結果になりました。

法政大表12)では1位が開智、2位は浦和・市立、3位は狭山ヶ丘東葛飾幕張総合という結果になり、全体的に埼玉と千葉の学校が多くランクインしました。また、9位の川越東を除いて全て共学校というのも大きな特徴でしょう。

最後に、表13は、今まで見てきた大学のうち、東京大、早稲田大、慶應義塾大、青山学院大、立教大、中央大、明治大、法政大に、京都大、東京工業大+一橋大を加え、11大学の全合格者合計を10年前と比べたものです。

増加数トップは2年連続で開智で、582人増の大躍進です。2位は栄東、3位は山手学院でした。また、上位20校のうち、公立は5校で、東工大、一橋大といった難関国立大の合格者数を追加してもなお、私立校の強さは揺るぎませんでした。

さて、ここまでの大学合格実績を見ながら、学校がそれぞれに特色を持っていることや、大学が入試に独自の傾向を持っていることなど、いろいろなことが読み取れたと思います。大学合格実績が学校選びに重要な要因であることがお分かりいただけたでしょうか。

しかし、以前に世間を騒がせた大学合格者数の「水増し騒動」のような問題が起こると、データへの信頼性が揺らいでしまいます。この時問題になったのは、ある高校の1人の生徒が関西のトップ私大“関関同立”(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)4校で、73学部・学科の合格を獲得していたことでした。高校全体の延べ数で144人合格していたことから、この生徒だけで高校全体のうちの半分強の合格者数を稼いだことになるわけです。

センター試験を利用した入試を実施する私立大は年々増えており、今年は487校にも上っています。出願をすれば、センター試験の成績だけで合否が判定される入試がほとんどで、受験生からは人気です。センター利用入試は検定料が安く、個別試験を受けなくてもよいので、効率よく複数の大学を併願できるからです。さらに、国公立大志望者はセンター試験受験が必須なため、私立大対策をしなくてもセンター利用入試で合格を勝ち取ることができるというメリットもあります。

そういったセンター入試のメリットを逆手に取り、学校が成績優秀な生徒の名義でセンター入試に出願し、数多くの合格を勝ち取ったのが今回の水増しです。一度にたくさんの合格判定をもらっても同時に進学はしないわけで、そのために涙を飲んだ受験生も多数いたことになります。

首都圏の難関私大を見回すと、早稲田、慶應ではセンター利用入試を導入している学部自体が少なく、上智は全く実施していません。MARCHでは多様な入試方式がありますが、合格基準点が高いため、関西圏のように大量の合格を取ることは難しいようです。

念のために水増しがないかチェックしたい人は、第一に国公立大合格者がどれほどいるかに注目しましょう。関関同立の合格者が多ければ当然、国公立大を併願している受験生も多く、合格者を出しているはずです。私立大の関関同立と国公立大で合格者数のバランスが不自然であれば、水増しの可能性があるかもしれません。とはいえ、水増し問題が示唆されたことで、各学校でもそうした情報操作への警戒が強まっていますから、データへの信用度は回復しています。それでも不安があれば、学校説明会に出かけて実合格者数は何人か、実際に進学したのは何人かを聞いてみるのもいいでしょう。

合格実績のアップダウンで志願者数が増えたり減ったりするのは事実です。しかし、それだけで学校選びをするのは得策とは言えません。学校の教育方針、校風なども合わせて検討し、学校選択をしたいものです。

学校では、学校の実力を伸ばすために何に力を入れていくのかを考え、様々な取組みを行っています。こうした学校の動きが反映され、伸びている学校の顔ぶれは刻々と変わっていきます。「高校別大学合格者数一覧」 の5年前、10年前のデータも参考にしながら、悔いのない志望校選びをしてください。

表13 合格者が増えている高校上位150校(11大学)
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