人文科学から社会科学、自然科学に至るまで、大学での「学びのフィールド」は多岐にわたっています。同じテーマを追究するにも、アプローチの仕方によって選択肢は大きく異なりますし、高度化、複雑化する時代の変化に応じて、新たな学問領域も次々と誕生しています。ここでは、大学におけるさまざまな学問分野の概要について、大まかな見取り図を示しました。ぜひ、進路選びにご活用ください。


 人文科学系統 
法学・政治学系統 経済学・経営学・商学系統 社会学・社会福祉学系統
教育学系統 学際系統 理学・工学系統
農学・水産学・獣医学系統 医学・歯学・薬学・看護学系統 
家政学系統 芸術学系統 体育学系統


人文科学系統を代表するのは文学部

人文科学系統の筆頭として挙げられるのが文学部です。古く伝統ある学部で、文化、芸術、歴史、環境など、人間に関わる多様な学問領域をカバーする複数の学科・専攻を設置しています。ここでは、大きく分けて「文学」「歴史」「哲学」「心理」の四つの代表的な研究分野について説明します。

「文学」系学科では、日本文学、フランス文学、中国文学、ドイツ文学、ロシア文学などの各学科・専攻を設置しています。小説や詩歌、戯曲などを題材として、表現や文法を研究する言語学的なアプローチとともに、作品の時代背景や作者の心的模様にも触れる歴史学、心理学、社会学に通ずる周辺領域の研究にも焦点を当てています。また、最近では、「英米文学科」→「英語・英米文学科」というように名称を変更し、語学に力を入れる学科も多くあり、日本文学科などでは、外国人に日本語を教える日本語教員の養成課程が人気を集めています。

「歴史学」を学べるのは歴史学科や考古学専攻などですが、最近では、独立していた地理の分野を融合させた史学地理学科なども増えてきています。各時代の文書や日記、絵画などの資料を通して、歴史という大きな流れにおける人間の営みや文化を研究していきます。遺跡や博物館へ足を運ぶ学外でのワークショップも盛んに行われています。

人文科学の生みの親ともいうべき「哲学」は、哲学、倫理学、美学、宗教学などに細分化されます。哲学では、東洋・西洋の哲学を追究しますが、倫理学はその哲学を現実社会に発展させ「いかに生きるべきか」を考える学問です。美学では、美そのものについての論理的研究のほか、芸術との関わりに触れる美学美術史の学科・専攻もあります。「宗教学」では世界の宗教や思想、宗教と人間との関わりなどを探究していきます。

そして、「心理学」では、現代社会で最も重視されるテーマのひとつである「こころ」のメカニズムを解明します。「基礎心理学」「応用心理学」「臨床心理学」の三分野に大別される文理融合の視点が特色で、その成果は、ロボットや人工知能、コンピュータゲームにも応用されています。

近年、学校や病院、一般企業など、さまざまな場でカウンセラーの需要が高まっていますが、実際にカウンセラーとして働くには、基本的に“臨床心理士”の資格が必要で、所定の大学院を修了することが必須です。

なお、文学部に近い学部として、人類の知的営為にせまる人文学部、教養学部などがあります。人文学部は人間文化学科、比較文化学科など「文化」に関連する分野を扱うケースが多くあります。また、教養学部では、多様化した専門分野を横断的に学びながら、互いの領域を学問的に関連づけていくことで、人間や文化の深層に迫っています。

副専攻制で国際性を養う外国語学部

現在、外国語学部はおよそ30の大学に設置されています。対象となる言語は、英米語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語のほか、近年のアジア圏への関心の高さから、中国語や韓国語も人気があります。これ以外にも、タイ語、ギリシア語、インドネシア語、アラビア語など、大学により広範な言語を学べる大学もあります。

外国語学部では多くの場合、一、二年次で専攻語を徹底して学び、三、四年次では専攻語圏の地域文化や政治、国際関係といった周辺領域を学習します。第二外国語として他言語の習得も可能です。また、TOEIC、TOEFLなどの語学試験のサポートや多彩な留学制度を用意している大学も多くあります。

こうして培った言語能力と知識を活かして、卒業後は、企業のほか、国際交流団体やNPOなど、国際社会における橋渡し役として活躍する学生も少なくありません。

現実問題をあつかう人間科学系学部

人文科学系統の中で、より実際的な研究を行うのが、人間科学部、人間環境学部、人間関係学部などの人間科学系の学部です。実社会の問題に触れ、社会、教育、情報、自然といった人間を取り巻くさまざまな環境と人間との関わりを多角的に考察していきます。

大学によってカリキュラムの範囲は大きく異なりますが、例えば人間関係学科では、人間と人間を取り巻く家庭や地域、企業、社会など、さまざまな世界との関係性を追究しています。

このページのトップへ
法学と政治学を学ぶ法学部

法学部で学ぶ分野は、法学と政治学に分けられます。政治学については、政治経済学部のように、経済学とともに学ぶケースもあります。

法学分野は、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の六法に焦点を当てています。法学科のほか、法律学科、現代法学科、現代社会法学科などの名称で、さらに司法コース、私法コース、法曹コースなど、より専門的なコースを設置している大学も多くあります。また、近年、ニーズの高まっている知的財産法や地球環境法などの専門分野に特化した学科を開設する大学も増えています。

政治学分野は、政治思想や社会論など、学問領域は幅広く、複雑化しています。法学部に政治学科として設置されている場合も多くありますが、政治学から発展した政策学や国際関係学などの新しい学問分野を独立させて学際系の学部として開設する大学もあります。

法科大学院での学び

一方、2004年4月に設置された法科大学院(ロースクール)により、法学部のあり方も大きく変わりつつあります。

司法制度の一環として設置された法科大学院は、法学部以外の学部出身者や社会人も一定の割合で受け入れ、法学既修者は2年間、未修者は3年間学びます。各大学院とも理論と実務をバランスよく学ぶ教育課程を採用し、教育方法にもそれぞれ特徴があります。

法曹をめざす人は原則として大学卒業後、法科大学院で学び、新司法試験に挑戦することになります。新司法試験の受験は5年で3回までという制限がありますが、2011年までは、旧司法試験と並行して実施されています。

このページのトップへ
経済の変動を理論と実践の両面から学ぶ経済学

世界的な経済不況により景気が悪化していますが、この系統では、こうした経済の変動や企業経営について学びます。

経済学は、文科系学問の代表的な学部ですが、文系ながらも、データを扱うことが多く、数学的能力やセンスも必要とされています。また、コンピュータを使用して、現実の経済を調査、分析していくため、基礎となる情報処理の授業をあわせて開設している大学も多くあります。

1・2年次では統計的な処理や分析方法、情報処理の基礎力を身につけ、3年次から専門のコースに分かれて学ぶのが、4年間の一般的な流れです。

学科には、経済学科のほか、経済法学科、経済工学科、ファイナンス学科などがあり、さらに、国際化時代を迎え、国際経済学科、国際地域経済学科などの名称も増加傾向にあります。

企業経営と商取引を中心に、ヒト・モノ・カネを学ぶ

国家を一つの大きな市場ととらえそのメカニズムを考察する経済学に対し、経営・商学系では、経済を動かす企業や組織体に焦点を当てています。カリキュラムの内容は大学によってさまざまですが、経営学部と商学部として、設置されている場合がほとんどです。

経営学は、商学よりも新しい学問で、企業組織に関わる管理や戦略を中心に学びます。経営学だけでなく、経営情報学、会計学などの関連科目が設置されており、企業経営について、多面的に学習しています。

また、経済活動の国際化や国内政策の転換、環境に対する国家・企業の意識改革など、現在、企業は大きな転換期を迎えつつあり、生き残りをかけて組織改革や新たな戦略の構築に取り組んでいかなければならなくなっています。

大学でも、こうした時代のニーズに応える人材を育成するため、経営情報学部や経営システム科学科などの新しいタイプの学部・学科を設置するところが増えています。また、企業だけでなく、病院や学校、NPO、ボランティア組織などの経営について研究する新しい学科も増加しています。

一方、商学部では、流通やマーケティングを中心に、企業間の商取引について学びます。また、社会情勢の変化により、会計学科やファイナンス学科、観光学科など、特定分野に焦点をあてた学科も増えてきています。

この系統は、個人投資家の増加や経済関連のニュースが取りざたされるとともに人気が高くなり、経済や経営などの専門家を育成するビジネススクールやアカウンティングスクールを設置する大学も増加傾向にあります。

経営管理の専門家を育成するビジネススクールでは、国内外のビジネスに有効なMBA(経営学修士)の資格を取得できます。

一方、アカウンティングスクール(会計大学院)では、会計・ファイナンスなどについて専門的に学びます。法科大学院と同様に国家試験と連動した専門職大学院で、一定の教育課程を修了すると、公認会計士試験の試験科目が一部免除されるため、注目を集めています。

このページのトップへ
社会と人間の関係を多方面から学ぶ

複雑化する現代、社会学では、今まさに社会で起こりつつある現象を取り扱うため、常に社会に目を向けて新しい課題が何かを発見できる能力が求められています。扱う内容を多角的に学ぶため、多くの大学でコース制を採用しています。

大学によってカリキュラムは異なりますが、社会学概論や社会調査の手法などを中心に、社会学独自のものの見方を学ぶのが一般的です。特に、フィールドワークを重視し、人間の意識や行動を調査し、現実を読み解く能力を養います。

学部として独立している場合もありますが、文学部に社会学科として設置している大学もあります。名称は、社会学科、コミュニケーション学科、現代社会学科、現代コミュニケーション学科などのほか、広報学科、新聞学科、観光学科など、より専門に特化した学科を設置する大学も増えてきています。

心と身体の両面から人をサポートする専門家を育成

すべての人が、人間らしい生活を送れるように、心と身体の両面を学ぶ社会福祉系の学部・学科では、体験型の授業を多く設置し、フィールドワークを重視しています。体験学習のほか、病院や福祉施設での実習授業などを豊富に設け、現場で活躍できる人材を育成しています。また、人間そのものが対象なので、心理学や教育学、社会学などの分野を総合的に学んだり、援助を必要とする人をサポートする知識・技術だけにとどまらず、幸せに暮らすための必要な制度や政策も研究対象となっています。

一般に、1~2年次では医学や心理学、社会学、介護学などの科目を幅広く学び、3年次から実習がスタートします。所定の科目を履修すると、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士などの受験資格や、そのほかの関連資格を取得できる大学が多くあります。

卒業後は、病院や老人福祉施設、障害者福祉施設、最近では関連する企業など、活躍の場は広がっています。

このページのトップへ
教員養成課程と総合教育課程

教育学部は、国立大学に設置されている場合が多く、カリキュラムは、教員を養成する伝統的な課程と、多様な視点から教育をとらえる総合教育的な課程に大別されます。

教員養成課程では、小・中・高等学校および特別支援学校、幼稚園の教員免許取得を目指します。高等学校教員免許は通常、中学校教員免許と連動して取得できます。

この課程では、「英語」「数学」などの専門教科に沿って専攻が分かれています。専門教科を学ぶ科目と教育史や教育制度などを学ぶ教職専門科目を軸に展開され、3、4年次には必修として学校などの教育施設で教育実習を行います。また、小学校と幼稚園の教員を養成する初等教育や、特別支援学校の教員を養成する障害児教育では、さらに専門的な科目の履修が必要とされています。

他学部でも、大学が設置する任意の教職課程を修了すれば教員免許を取得できますが、教育系学部ではより専門的かつ効果的なカリキュラムが組まれ、最先端の授業科目を受けることができるので、教員を目指す人にとっては最適な学部だと言えます。

初等教育の分野では、小学校教諭、幼稚園教諭のほかに、保育士の資格も人気があります。学部・学科は、生活科学、子ども、人間社会、社会福祉などさまざまですが、いずれも子どもや子どもを取り巻く環境を総合的に考察する人間科学的な色が濃いようです。

教員免許取得後は、教員採用試験に合格し、採用候補者となって採用を待つことになります。ここ数年、教員不足となる自治体が増え、教員の採用枠は拡大しています。

また、法科大学院と同じように、高度専門職業人の養成を目的とした専門職大学院に、教員養成に特化した教職大学院があります。教職大学院では、大学卒業者を対象に、実践的な指導力・展開力を身につけ、即戦力となる教員を養成するとともに、現職教員に対しても、確かな指導理論と優れた実践力・応用力を養い、スクールリーダーとなる人材を育成します。

標準修業年限は2年間ですが、教員経験者対象の1年コースや教員免許状を持っていない人向けの3、4年間の長期在学コースを設置している大学もあります。

高齢化社会を迎え、注目を集める生涯学習

一方、教員養成を第一の目的としない総合教育的な課程には、「総合科学課程」「人間発達科学課程」「総合教育課程」などさまざまな名称があります。文系、理系の垣根を取り払い、幅広い知識を身につけて、柔軟な思考能力を備えた人材を育成しています。また、この分野は社会の変化とともに新しい領域を開拓しており、「国際」「情報」「環境」「心理」などの課程を設ける大学もあります。

なかでも注目されているのが、「生涯教育」の分野です。今、年齢に関わらず興味あることを学び、豊かな人生を過ごしたいと願う人が増えています。人々の“学ぶ意欲”に応え、地域のカルチャーセンターや通信教育など、生涯学習の場も広がっています。生涯教育課程では、活発化する生涯学習社会をリードする人材の育成を目指しています。また、近年のスポーツ人口の増加に対応し、生涯スポーツに特化する課程・専攻も目立ちます。

このページのトップへ
学際系統を代表する「総合政策」、「国際」

大学改革に伴う学部再編が進み、複合領域や新しい学問分野を創造、追究する学部が誕生しています。なかでも、「国際」「政策」「情報・メディア」などの分野がここ数年、人気を集めています。

学際系統を象徴するのが、「総合政策学部」です。文理融合の研究テーマを自由度の高いカリキュラムで学びながら、自ら問題を発見し、その解決策を見出す力を養成しています。現代社会に密着した学部にふさわしく、どの大学でも、グローバル化、情報化に即したレベルの高い外国語教育、コンピュータ教育が行われています。

また、21世紀の国際社会で活躍する人材を育てる国際系学部も学際系統の学部のひとつで、政治、経済、環境、文化など、研究分野は多岐にわたります。

国際系学部が語学教育に熱心なことは言うまでもなく、1年間の海外留学を必修とする大学もあります。また、留学制度を充実させたり、海外留学生の受け入れに積極的な大学も多くあります。

そのほか、学際系統の中に含まれる学部として、メディア・情報系、コミュニケーション系、健康系などの学部が挙げられます。この系統は、今後、社会の変化とともにさまざまな様相を見せていくでしょう。

このページのトップへ
自然科学の基礎を学ぶ理学

日本では、さまざまな最先端技術の開発が行われており、その水準の高さには定評がありますが、その基礎となるのが理学分野です。

理学は、宇宙、地球、生物、生命、分子、原子、原子核など、マクロからミクロまでの自然や自然現象を対象とした学問です。学問領域は数学、物理学、化学、生物学、地球科学の5つに分けられ、最近では、研究テーマが分野間をまたぐことも多くなっています。

このうち数学は、理系分野だけにとどまらず、すべての科学的思考のひとつの言語として君臨しています。最近では、数学は情報理論の基礎学問として重視されるようになり、コンピュータを使用して、物理学・化学・生物学・地球科学の理論計算、シミュレーション実験にも役立っています。数学科や数理学科、数理科学科のほか、最近ではコンピュータ科学と融合した研究を行う情報数理学科なども注目を集めています。

理学分野の中で、数学と性質が似ているのが物理学です。物理学は、すべての科学技術の基礎となる学問で、自然界に存在する物質の運動や現象を分析し、普遍性と論理性を見出していきます。その成果は電気や電波、半導体、コンピュータ、X線、MRIなどにも応用されています。

21世紀は生物学の世紀だといわれていますが、遺伝子の総体であるヒトゲノム解析がほぼ終了したのを皮切りに、生物学は急速な進歩を遂げています。特に、遺伝子工学や生体工学などのバイオサイエンスやバイオテクノロジーの分野が盛んです。また、生命科学と関連が深く、医学や獣医学、農林・水産学などと連携した研究も行われています。

物理学と生物学の架け橋となるのが化学です。わが国の化学分野の研究は世界トップレベルを誇り、その研究能力は高い評価を受けています。大学で学ぶ化学は大きく物理化学・無機化学・有機化学・分析化学の四つに分けられ、工学、薬学、農学、医学などのあらゆる分野に応用されています。

地球科学では、地球の成り立ちや生い立ちなど、地球に関するあらゆることが研究対象です。地質学・地震学などの地学領域から、宇宙に至るまで、専門に分かれて学んでいます。人文・社会科学と連携し、地球規模の問題を分析・解明し、環境と調和を保つ方法も模索しています。地学科や地球学科、地球環境学科、環境科学科、地球惑星科学科など、各大学独自の学科も少なくありません。

理学を応用し、社会に還元する工学

理学を応用し、人間社会を豊かにする役割を担うのが工学です。

工学系の中で最も歴史がある機械工学はものづくりを基に、快適な社会生活を追究する学問です。最近ではリニアモーターカーや知能ロボットなど、最先端の研究が行われています。ほとんどの工学部に設置され、ロボティクス学科、機械・航空工学科など、研究対象をより明確にあらわした学科に改組する大学も増えています。

機械工学と密接に関わりあっているのが電気電子工学です。現代社会に欠かせないこの分野はエネルギー、情報通信、回路・システム、デバイス・材料の四分野で構成され、電気や磁気、電子を利用して、人間社会で必要な技術の開発が行われています。

電気電子工学と近い関係にある情報工学では、実験と実習を重視したカリキュラムで、コンピュータのソフト・ハードの両面を学び、IT社会で活躍できる人材を育成しています。

人気の高い建築学は、建築設備や建築構造など、建物に関する基礎的な知識とともに、環境や経済、歴史にまで素養を広げて学びます。また、芸術的センスも必要とされます。工学部や理工学部に設置されている場合と、女子大を中心に、家政学部や生活科学部、芸術学部などに設置される場合があります。

建築学が建物を対象としているのに対し、土木工学は、人間が安心して社会生活を送れるように環境を整備し、文明の基礎を築く役割を担います。最近では、土木工学科のほかに、都市建設工学科、都市環境デザイン学科などに名称変更する大学も増えています。

また、工学の中で新しい領域として注目を集めているのが、バイオ工学や医用工学系の分野です。これは、バイオサイエンスと工学を融合させた分野で、創薬や再生医療、遺伝子治療など、応用分野は多岐に渡っています。

このほか、さまざまなモノを構成する材料に焦点を当てた材料工学、情報技術や数理技術を学ぶ経営工学、資源・環境の課題に取り組む資源工学や環境工学などさまざまな学問領域があります。

このページのトップへ
地球の未来を変える最先端の研究

アジア・アフリカを中心に世界人口が爆発的に増え続けている一方で、人口の約三分の二が飢饉や食糧難に直面しています。

地球規模の危機を回避するため、農学系の学部では、バイオテクノロジーや遺伝子工学、環境科学などについて幅広く研究しています。多くの大学では、学科別に農業、水産業、林業、畜産業と獣医学に分けています。

農業系の学科には、農学のほかに、農芸化学や農業工学、農業経済学など、幅広い分野があるため、分野別にコースを細分化している大学もあります。遺伝子操作やバイオテクノロジー、植物の品種改良による増産、砂漠の緑化などの研究は、食糧問題や環境保全に直接関わる手段として期待されています。

林業について学ぶ学科には、森林科学や生物環境、地域生態システムなどがあり、減少を続ける熱帯雨林や地球温暖化、砂漠化防止などをテーマに研究が進められています。最近では、枯渇の恐れがある石油や石炭などの化石燃料に代わるエネルギー資源として、生物が作り出す資源を利用するバイオマスに注目が集まっており、林業系の学科では、これらについても詳しく学び、環境調和型の生物資源の開発を実践しています。

畜産業では、家畜・家禽類に関連した知識・技術を修得します。家畜の飼育や疾病治療にとどまらず、施設の建設や生産物の加工・流通など、さまざまな産業と関わりがあるため、大学独自のカリキュラムで、広い領域を総合的に学んでいます。

一方、医学部や歯学部、薬学部と同様に六年制を採用している獣医学では、産業動物(牛・豚・馬など)や伴侶動物(犬・猫)の疾病の予防と診療について学びます。最近では、BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザなどの解決に向けて、獣医学への期待が高まっています。

海や川、湖などの水圏にある生物資源や海洋環境について学ぶ水産系の学部・学科では、学内での実験・演習科目のほか、練習船による実習を設けている大学もあります。一般的には、コースや専攻として設置している場合が多く、水圏にある生物資源を増やしたり、海洋環境を整える研究を行っています。

このページのトップへ
専門知識・技術を身につけ、 医療人としてのコミュニケーション能力と倫理観を養う

医学部のカリキュラムは、教養教育・臨床前教育・臨床実習の三つに分けられます。1年次では、一般教育科目を中心とする教養教育や、リハビリ施設や老人医療施設などの医療現場で実習を行い、倫理観や医師としての心構えを身につけます。

2~4年次では、基礎医学や臨床医学などの臨床前教育を受けます。この期間は実験・実習も多くなり、4年次には、その時点での学生の知識や技能、態度などを評価する全国共用試験が実施されます。これはCBT(知識テスト)とOSCE(臨床能力の実地テスト)で構成され、合格しないと5年次からの臨床実習には進めません。

5・6年次は臨床実習が中心となり、6年次に医師国家試験に合格すれば医師免許を取得できます。卒業後は、全国の大学病院で2年以上の臨床研修が必修化されています。

歯学部も医学部同様、6年制です。一般教養科目を履修し、基礎歯科医学や臨床歯科医学を学んだ後、5、6年次に臨床実習が行われるのもほぼ同じで、卒業後は1年以上の臨床研修を経て、一人前の歯科医師となります。

また、最近の口腔医療は、虫歯の治療を中心としたものから、歯の色を白くするホワイトニングや歯列矯正、顎関節症の治療など、患者の多様なニーズを満たす治療へと領域を拡げています。さらに、スポーツとの関わりも深いため、近年ではスポーツ外傷の予防・軽減や競技力の維持・向上を助けるスポーツ歯学の外来を設けている大学病院もあり、こうした幅広い知識を養うために、大学院に進学する人も増えています。

看護学は、大学の場合は4年制、短大の場合は3年制の課程で学ぶことができます。

教育内容は、幅広い視野と豊かな人間性を養う教養科目と高度な看護スキルを身につける専門科目、実践力を養う実習で構成されています。卒業とともに看護師の国家試験受験資格が得られるほか、保健師や助産師の受験資格、高校教諭や養護教諭などの教員免許が取得可能です。

臨床薬剤師を育てる6年制課程と、薬学研究を行う4年制課程

薬学を学ぶ学科には、6年制と4年制課程があります。

医、歯学部と同じ6年制課程は、薬学科や医療薬学科などの名称で、臨床薬学と医療薬学に重点を置いた教育を行っています。1年次で教養科目や基礎科目を中心に履修し、2年次より本格的に専門科目を学びます。4年次には共用試験が行われ、合格すれば5年次に病院や薬局での約半年間の実務実習を受けます。6年次には卒業研究を進めるとともに、薬剤師国家試験の合格を目指します。

一方、4年制課程は6年制課程の薬学科と区別するために、“薬科学科”や“生命薬科学科”“創薬科学科”などの名称を採用しています。生命科学や創薬科学を基盤とする薬の研究に重点を置いたカリキュラムで、大学院進学を視野に入れた教育を行っています。薬剤師国家試験受験資格は得られませんが、製薬会社や大学で研究・開発に携わる人材、医薬情報担当者(MR)など、進路は多岐に渡っています。

このページのトップへ
新時代の医療を支える高度な技術を修得

医療技術系統の学部は、国家資格に直結したカリキュラムが特徴です。その内容は、対人ケアが中心のリハビリテーション系と、医療機器を扱う検査系に分けられます。

リハビリテーション系の資格には、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士などがあります。

理学療法士は、けがや病気、老化などによって身体に障害を抱える人たちの日常生活への復帰を支援します。ひじ・膝の曲げ伸ばしや歩行訓練などの運動療法と、マッサージや電気・光線・温熱などを使う物理療法があり、これらを組み合わせて治療を進めます。

作業療法士は身体や精神に障害をもつ人の社会復帰を助ける専門家です。入浴や食事などの日常的な作業のトレーニングや手工芸・陶芸・ゲームなどの趣味や遊びをとおして、心身ともに自立した社会生活を送る力を取り戻し、患者の社会生活能力の回復を助けます。言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションに障害のある人に対し、専門的な検査・訓練・治療を行います。さらに、視能訓練士は、斜視・弱視の訓練・治療や視機能の検査に携わります。 “超高齢化社会”を目前にして、リハビリテーション分野の有資格者が担う役割は拡大しています。就職先は、病院、診療所、リハビリテーションセンターのほか、介護保険制度の導入により、訪問介護での活躍も期待されています。

検査系の資格には、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士などがあります。

臨床検査技師は、病院で患者の血液検査や心電図検査、尿検査などさまざまな検査を行う専門家です。これらの検査結果に基づいて、医師は診断を下したり、治療の方針を決定します。診療放射線技師は、X線や超音波、MRIといった最新の画像診断装置を駆使して検査をしたり、放射線機器等の管理を行います。また、臨床工学技士は、生命を維持する人工呼吸器や透析装置、人工心肺などの操作や保守点検業務などに従事。医学と工学にまたがる知識が求められています。

以上の資格取得を目指す医療技術系学部では、全体的に理系の科目が多いのが特徴です。また、医学部や看護学部を併設している大学では共同実習も実施しており、チーム医療の実際を学ぶシステムが整っています。

このページのトップへ
快適なくらしを追究する「生活科学」

家政学では、「衣食住」を中心に、生活に関わる分野を学びます。最近では、環境や消費社会、教育とも結びつきが強く、より学際的に学べるカリキュラムを導入する大学もあります。

家政学で学べる分野は大きく分けて、「環境」「栄養」「こども」の三つの領域に分けることができます。

家政学であつかう「環境」は、主に「生活環境」のことをいいます。衣服や住居といった身近な環境をとおして、より快適な生活を追究していきます。

家政学の中で最も歴史が古い服飾分野では、かつては主に裁縫技術を教えてきた伝統を受け継ぎ、現在の服飾系学科でも、服飾デザインやパターンメーキングといった実際の服作りに関わる教育が行われています。その一方で、最近では、人間に一番近い環境として衣服をとらえ、肌に優しい素材や、着心地を重視した衣服設計などの研究が進んでいます。素材の研究では、洗浄や染色についての実験もあり、理系的な要素も含んでいます。また、1級衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)の資格も取得可能です。

住居・インテリア関係の学科では、“家”や“住まい”について理論的に学ぶとともに、実際に建物やインテリアの設計を行う科目を設置する学科が増えています。二級建築士の受験資格取得も可能で、卒業後は設計事務所やインテリア関連企業への就職の道も開けています。

「栄養」系は、食物全般を扱う食物学、食物科学の学科・コースと、管理栄養士の資格をめざす学科・コースに分かれます。

食物科学科では、栄養学、調理学、食品学など自然科学系の科目を中心に学び、食物の特性や栄養についての知識、調理技術などを身につけます。栄養士やフードスペシャリストなどの資格が取得可能で、卒業後の進路としては、食品メーカーでの食品開発部門などが人気を集めています。

管理栄養士養成課程では、人々の健康維持・増進や疾病予防に貢献する管理栄養士の国家試験取得を目的としています。生活習慣病や不適切なダイエット、高齢社会への対応など、現代における管理栄養士のニーズは高く、医療や福祉との関係も深いことから、カリキュラムでは病院や介護施設での実習が必修となっています。

また、子どもの健全な食生活を指導する“食育”が重要視される中、その中心となる「栄養教諭」の活躍も期待されています。

幼稚園教諭免許、小学校教諭免許、保育士資格が取得できる「子ども」関係の学科・専攻は、家政学の中でとくに人気があります。

児童学を軸に、家族・社会・文化・心理など幅広い視点から子どもの心身の発達を総合的に考察していきます。山積する現代社会の子ども問題にも触れながら、人格形成において重要な子ども時代に関わる教育者としての自覚を育て、豊かな人間性と広い視野を養っています。カリキュラムには、理論科目とともに、ピアノや工作などの実技科目や、保育園などで子どもと接する実習も盛り込まれています。

このページのトップへ
自己表現の美術、社会とつながるデザイン

芸術学系統は、美術、デザイン、音楽の領域に大別されます。

美術系には、主に日本画、油絵、版画、彫刻、工芸といった学科・専攻があります。美術系は、自己表現に重きを置いており、その表現方法として、基本的な技術を修得します。例えば絵画の専攻では、デッサンや空間表現、壁画技法などの科目が設置されています。

これに対して、“使う人”の存在を念頭に置くデザインは、人間や社会と直接的につながる技能です。グラフィック、テキスタイル、ファッション、インテリアなどの学科があり、各分野で、実用性を重視したモノの創造や、生活における新しい価値の提言を行っています。

また、情報時代を迎えた今、アニメーション、映画、ウェブ、オーディオ&ヴィジュアルなど、デジタルテクノロジーを駆使した21世紀型の芸術・デザインが次々と誕生しています。

美術、デザインともに実技の授業を中心としたカリキュラムが整っていますが、理論もバランスよく学びます。代表的な「芸術学」「美学・美術史」や、芸術と社会の橋渡しをする「アートマネジメント」「アートプロデュース」などが最近の人気科目のようです。

細分化した専門教育で音楽一色の4年間

大半の美術・デザイン系学部と同じように、音楽系も単科大学で専門的な教育が行われています。 専攻は、ピアノ、オルガン、弦楽器、管楽器、声楽、作曲、指揮などの演奏系と、音楽学、音楽史、音楽教育、音楽療法といった理論系があります。また、最近では、邦楽、ジャズ、ミュージカルなどの専攻を設置する大学もあります。

音楽学部のカリキュラムでは、入学時より、専攻別の個人レッスンなどを含む専門科目が主体となります。その一方で、音楽家にふさわしい豊かな感性を培うために、一般教養教育に力を入れたり、音楽と結びつきの強い語学教育を重視する大学が増えています。

多くの音楽大学では毎年、一般にも公開される定期演奏会を行い、専攻間の交流を図るとともに、地域と大学の架け橋としての役割を果たしています。

このページのトップへ
時代とともに進むスポーツの多様化

これまでは、スポーツ理論や実技中心のカリキュラムで、優れたアスリートやその指導者の育成を教育の要としてきた体育学ですが、近年、スポーツは、すべての人が楽しみ、生活を豊かにする「文化」の一部として捉えられるようになっています。

同時に、スポーツを医学的・科学的に研究し、人々の健康維持・増進に役立てようとする学問が大きな注目を集め、体育系学部の中に健康学・健康科学分野の学科・コースを設置するケースが増えています。

この分野では、心理、医学、社会学などの学問分野を学際的に学び、健康の維持・増進を図るための理論と実践の方法を修得します。保健体育教員免許や介護福祉士、救急救命士、精神保健福祉士などの国家試験受験資格を得られる大学もあり、卒業後は保健・医療・福祉などの現場で、健康づくりの専門家として活躍します。

また、人々が気軽にスポーツを楽しむ時代となり、“生涯スポーツ”という概念が広まっています。地域の体育館を利用したスポーツ活動や、一般参加のスポーツイベントでは子どもからお年寄りまで多くの人が汗を流しています。こうした生涯スポーツを牽引する専門家の育成が、体育系学部の新しい課題となっています。

このページのトップへ

当サイトをご利用いただくにあたってのご注意