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2011年度から、入試制度を大改革
文系理系別の総合入試を導入
佐伯浩(さえき・ひろし)総長

学部単位のみの入学試験に、文系理系別の総合入試を導入──。北海道大学は、2011年度から入試制度改革を行います。長年続いてきた学部単位のみの入試を改める、極めて画期的な改革です。重要課題に掲げる「大学の国際化」も着実に進めています。GPA制度により成績評価を国際標準化し、能力別クラス導入で英語教育を充実させました。さらに、学生の海外留学を促進するため、既存の奨学金制度の拡充や新制度の創設を検討しています。全人教育の伝統を受け継ぎ、2006年度に教養教育に新教育課程を導入して、全学の教員が責任を分担し全学教育に力を注いでいるのも特徴です。

北海道大学は、「フロンティア精神」「国際性の涵養」「全人教育」「実学重視」を基本理念に掲げています。札幌農学校(1)以来の伝統である農学部に加え、獣医学部、水産学部など実学を重視した特有の学部を含む12学部を擁し、札幌市の中心部に位置する広大なキャンパスに、水産学部を除く全学部があり、多種多様な人材が集まっているのが魅力です。先端分野での研究力の高さも北大の伝統で、グローバルCOEプログラムに7つの拠点が採択されています。

総合大学のメリットを
学生に享受させる

1876年開学の歴史を誇る北海道大学は、入試制度の大改革に着手しました。これまで学部単位のみで実施してきた入試制度を改め、2011年度入試から、募集定員の45%(2)を、文系理系別で実施する総合入試を導入します。入学後にじっくり時間をかけ、自分の進む学部・学科を決められるのが、学生にとって最大のメリットです。

「入試改革は純粋に教育哲学の問題」と、佐伯浩総長は語っています。

「受験勉強に明け暮れる18歳の青年に学部や学科の決定を強いるのは酷です。そのため、自分の学力と親の意向で志望学部を決めることも少なくありません。結果、入学した学部が自分の希望や適性とマッチしていない学生も生まれています。総合大学にはさまざまな学部があるのに、入学時点で所属学部が決まっている制度では、そのメリットを学生が享受できていませんでした」

「自分の将来は自分で判断し
決定する、開拓者精神を養う」

新制度では、移行する学部は1年次の成績確定後に決まります。「親の影響下から離れ、自分の将来は、全学教育を履修しながら、さまざまなバックボーンを持った友人、先輩、さらには先生との出会いの中で、自分で考え、自分で判断する。それが、開拓者精神であり、大人になるということです」(佐伯総長)

全人教育の充実の狙いもあります。「入学時に所属学部が決まっていると、4年一貫教育の色彩が強くなり、学生が全学教育を履修する際に学部の意向が反映されるのが現実です。それを排除し、学生の興味と関心に従い、純粋にリベラルアーツ(教養教育)を学んでほしいという願いも込めています」

しかし、全員が希望通りの学部・学科に移行できる訳ではありません。学部・学科にはそれぞれ定員があるため、移行先は学生の希望と1年次の成績によって振り分けられます。

成績評価の公平性を担保するため、北海道大学では、成績の評価基準を明確にするGPA制度(3)を導入しています。さらに、教員別の成績評価結果をホームページで公表し、評価をより厳格にしています。

留学生の数を1,800人に

佐伯総長は、最重要課題を大学の国際化と明言しています。教育部門で特に重視しているのは「外国語教育の充実」です。外国語教育センターを設置し、さまざまなプログラムを提供しています。英語の授業では能力別クラスを導入し、「英語単位優秀認定制度」で成績優秀者を認定しています。さらに、対話能力やプレゼンテーション能力を育成する外国語演習科目や、ネットワーク上で提供される教材を学ぶオンライン授業なども取り入れています。また、留学生と共に英語で学ぶ、国際交流科目も毎学期13科目程度用意されています。

キャンパスの国際化も進めます。2008年度に1,000人を超えた留学生を、6年後に1,800人に増やすことを目標に掲げ、大学院の4研究科・学院で導入している英語コースを増やすとともに、各学部にも順次設置していく計画です。さらに、北大生の海外留学を促進するため、海外協定校の数を増やし、奨学金制度も充実する予定です。

「最良の専門家による
最良の非専門教育」

北海道大学は基本理念の一つに「全人教育」を掲げています。専門知識にとどまらず、豊かな人間性と高い知性を兼ね備え、広い教養を身につけた人間の育成を図る教育をいい、それを支えるのがリベラルアーツと呼ばれる教養教育です。

北大の教養教育の特色はコアカリキュラム(4)にあります。「最良の専門家による最良の非専門教育」をモットーに、学部、大学院、研究所などの区別なく全学の全教員が責任を分担する体制を採っています。このため、一般教育演習などの授業で、学生は第一線の研究者から最先端のトピックを学ぶこともできます。

顕彰制度(5)や課外活動支援制度が充実しているのも特色です。

「世界に飛び出す
元気のいい学生を求めます」

宮崎県の出身で、北大山岳部に憧れて入学し、下宿生活を送ったOBの佐伯総長は、母校の魅力を語ります。「北大は札幌の中心部にあり、文化芸術の環境も他の大都市と遜色ありません。ほとんどの学生が自転車で5分以内の場所に住んでおり、大学が生活の場となっているのも魅力です。学生も教員も半数は道外出身者です。不況で学生の地元志向が強まっていますが、若いときには親元を離れ、一人で生き、一人で判断し決定する生活が大切です。北大は自分を磨くには最適な大学です。親元から遠く離れた北の大地での大学生活を全力で支援します」

 

 

 

進級する学部・学科は入学後にじっくり選択。
学部に制約されない純粋な教養教育を実施。 国際化推進中。
北海道大学の入試が変わります
(1)札幌農学校 1876年、米マサチューセッツ農科大学からクラーク博士を教頭に招き開校。内村鑑三、新渡戸稲造らを輩出した。東北大学と北海道大学の源流となった。
(2)募集定員の45% 文系は法・文・教育・経済学部を合わせた募集定員計625人中、100人(16%)を総合入試で選抜。理系は全募集定員1860人中、55%にあたる1027人を総合入試で選抜する。が、専門職を育成する医学部医学科と保健学系は95%、獣医学部は88%を学部入試で選抜する。
(3)GPA制度.(Grade Point Average)  学生の総合成績評価システム。履修科目の成績をGPとし、学生が履修した科目のGPと単位数の積の総和を、履修した単位数の総和で割った平均値をG P Aと呼ぶ。G P A = Σ(GP×単位数)/履修登録単位数で表される。
(4)コアカリキュラム 一般教育演習(フレッシュマンセミナー)、総合科目、主題別科目、共通科目、外国語科目・外国語演習で構成。フレッシュマンセミナーは1年生の多くが履修するゼミナール形式の授業で、1クラス20人以下の少人数制のもと「大学での学び方」を学ぶ。
(5)顕彰制度 学部学生向の「新渡戸賞」は、1年次の成績が優秀な学生に、20万円の奨励金を給付。女性研究者育成を目的とした「大塚賞」は、成績優秀な大学院博士課程最終年次女子学生に奨励金50万円を給付。他に、全国・国際規模の競技会で優秀な成績を収めた学生を顕彰する「北大えるむ賞」などがある。
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