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英語力最適化プロジェクト

東京外国語大学では、26言語の主専攻語を擁して言語教育を展開していますが、その中でも英語教育を全学的に改善し、社会で通用する英語能力を養成することを目的にスタートしたのが「英語学習支援センター」です。ここでは学生が自ら進んで学ぶ「自律的学習」に重点を置き、「英語自律学習支援プログラム」を提供しています。入学時のTOEIC-IPテストの全員実施や、eラーニング・プログラム、多読・多聴ライブラリー、スピーキング・セッションなど多彩なコンテンツを用意して、社会のさまざまな分野で活躍するためのスキルの習得を目指しています。
英語教育の体制強化へ
英語学習支援センター
東京外国語大学で主専攻語として学べる言語は26にも上ります。もちろん、言語を学ぶだけではなく、言語を通して世界の文化や歴史、社会を学び研究することを目指していますが、その中で英語に関するカリキュラムは次の通りです。
まず、主専攻語としての英語と、第2外国語に相当する副専攻語(1)としての英語があります。この他に、「英語による講義科目」、四大学連合(2)による国際テクニカルライティング・コース、また、一部の「特化コース(3)」において英語を集中的に学べる上に、「英語自律学習支援プログラム」があります。
この英語自律学習支援プログラムを運営しているのが、英語学習支援センター(ELC=English Learning Center)です。ELCが設立されたのは2008年4月。同センター長の吉冨朝子教授は、「グローバル・スタンダードとしての英語の教育体制を強化したいというのが設立の発端です。授業を増やすのではなく、補完して学習者の自律を促すようなプログラムを授業外で提供したい。そのための“場”としてELCが立ち上がりました」と話します。
吉冨センター長のもと、長沼君主専任講師と工藤洋路専任講師がプロジェクトを担当し、学生の「自律的英語学習」を総合的にサポートしています。1、2年次の英語主専攻、英語副専攻の学生を重点的に支援していますが、3、4年次の学生も含めて、すべての学生に広く門戸を開放しています。
多彩なコンテンツで
学生を総合的にサポート
英語自律学習支援プログラムは、学生が自分で自分の言語学習の目標を立て、自分のレベルにあった学習法を自ら見つけ出し、遂行することを目指しています。すなわち、「自律した学習者の育成」です。
内容は「eラーニング・プログラム」「多読・多聴ライブラリー」「ライティング・コーナー」「スピーキング・コーナー」の4つに大別されます。eラーニング・プログラムでは、リーディング、リスニング、ボキャブラリーのトレーニングを行います。英語が主専攻、副専攻の学生に対しては授業外で行う一定量の学習課題が設定され、単位認定条件となっています。昨年度までは、主に既存の市販ソフトを利用したeラーニング・コンテンツを利用していましたが、2009年度からは東京外国語大学が独自に開発したプログラムも併用しています。
多読・多聴ライブラリーでは、レベル別のコンテンツを取りそろえて多読学習や多聴学習を推進しています。この2つがいわゆるインプットのためのプログラムであり、スピ-キング・コーナーとライティング・コーナーは、アウトプットのプログラムです。
スピーキング・コーナーでは、学生1~5人とネイティブ・スピーカーの英語講師がテーマを決めてディスカッションを行います。ある時はプレゼンテーションをしたり、映画を鑑賞して自由に感想を述べあうこともあります。
ライティング・コーナーでは、学生はコンピュータによるテーマ別のライティング・トレーニングを受けます。自動採点システムのプログラムですが、アドバイザーからのコメントを受けることもできます。
TOEICの全員受験と
ランゲージ・パスポート
東京外国語大学では2008年4月、新入生全員にTOEIC-IPテストを実施しました。これまで留学を希望する学生や就職支援の一環としてTOEICを行うことはあっても、新入生全員に一律で行うというのは初めての試みです。テストは1年終了時と2年終了時にも実施し、英語力の伸びを確認します。またこの点数によって、主に1年生の副専攻英語のクラス分けを行い、より効率的な英語力のアップを図ろうという狙いもあります。
そして、最終的には「ランゲージ・パスポート」を発行する予定です。これはポートフォリオ形式で学習の記録を掲載したもので、個々の学生の英語力がどのレベルにあるかを客観的に評価したものです。吉冨教授は「単なる学内的な学習の記録ではなく、対外的にも客観的に分かるものにしたいと思います。パスポートは、個々人の英語力を大学機関が正式に保証するものです」とその性格を語ってくれました。例えば、海外で職を得たり、留学する時にも役に立つことでしょう。
社会で活かす英語力目指し
客観的評価体制の構築へ
「ランゲージ・パスポート」に象徴されるように、ELCの特色は「評価」についても力を入れている点です。例えば、スピーキング能力の的確な評価をするため、ネイティブ・スピーカーのイングリッシュ・アドバイザーに、“評価官”になるためのノウハウやスキルを身につけてもらう訓練をしています。
つまり、東京外国語大学のELCは教材開発などの学習支援とともに、英語能力の評価基準の作成のための研究にも大きな比重を置いており、英語教育における学術的意義の面からも注目されているのです。
オープン2年目、プレゼンテーションのスキルアップなども含め、3、4年次の学生もELCを積極的に利用するようになりました。またワークショップを開催したり、留学を目指す学生のライティング指導など個別の対応も行っています。
単なる“支援”を超えて、授業と有機的な関わり合いを持つことにより、授業の質的保証を実現し、ひいては英語教育全体の底上げにつながっているといえます。
吉冨教授と長沼、工藤両専任講師は「東京外国語大学は、社会に通用する英語力を持つ学生を養成することを目指しています。高度職業人として英語を活かして、いろいろな職種で活躍する人材、そして英語を自由に操る研究者を育てることが使命といえます。言語は手段です。その言語を通してより深く文化や歴史を知ることができます。そのためにはまず言語そのものに興味を持ってもらわなければいけません。言語を通して世界を広げたいという夢を持っている人や、自然な感覚として英語を使いたいという人を待っています」とエールを送っています。
言語を通して世界へ夢が広がる。
社会で通用する英語力を育成して、高度職業人、研究者として多様な分野へ羽ばたく。

(2)四大学連合 グローバル化された社会において、真に国際化社会に耐えうる研究教育体制を確立することを基本理念とし、2001年、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京工業大学、一橋大学間において四大学連合を結成した。連合を構成する各大学が、それぞれ独立を保ちつつ、研究教育の内容に応じて連携を図ることで、これまでの高等教育で達成できなかった新しい人材の育成と、学際領域、複合領域の研究教育の更なる推進を図ることを目的としている。四大学連合憲章に基づき、2002年東京外国語大学と東京工業大学は、学部間における複合領域コース及び大学院間における学生交流に関する協定を締結。現在、両大学間には、国際テクニカルライティング・コースが開設されている。
(3)特化コース 2004年度入学者から設けられたコース。選抜試験等を経て特化コースの履修を認められた者は、第4年次に大学院博士前期課程(修士コース)の授業のうち10単位を上限に先取り履修が可能となり、大学院進学後1年で修士号が取得可能となる。英語教育学、日本語教育学、国際コミュニケーション・通訳、国際協力の4特化コースがある。
