
社会科学系総合大学を目指す

一橋大学は「アジアNo.1、世界Only oneの社会科学系総合大学」を目標に掲げ、さまざまな改革に取り組んでいます。目指すのは「国際的なリーダーシップを発揮できる人材の育成」「社会科学の『新しい知』の創造」「社会のニーズに応える世界水準の専門職大学院の充実」「世界の研究者が集い交流する研究のグローバルハブ」です。「少数精鋭」を旨とし、伝統のゼミナール制度を中核とする教育と、卒業生による強力な後援会組織の存在が特色の一橋大学は、建学以来、政治、経済、産業などの分野で多くの指導的人材を輩出し、「就職に強い」ことでも知られています。
“Captains of Industry”(1) を建学の精神とし、わが国の発展に寄与した多くの人材を輩出してきた一橋大学は、1875(明治8)年に創立された私塾、商法講習所が起源です。国立大学でありながら私塾的な伝統を受け継ぎ、官の体質が希薄で在野精神に溢れ、自由と自治を尊ぶリベラルな校風が息づいています。
研究力に優れ、グローバルCOEプログラムに2拠点が採択されているほか、文部科学省・日本学術振興会が交付する科学研究費補助金の新規採択率は5年連続で全国1位を獲得しています。さらに、法科大学院修了者を対象とした新司法試験(08年度)には78人が合格し、合格率で全国トップとなりました。
一橋大学結束のコア
ゼミナール制度
リベラルな気風を支える原動力は、伝統のゼミナール制度です。教員の指導のもと、少人数の学生が特定のテーマについて研究し討論する形式の授業形態で、一橋大学は日本で最も早くゼミを導入した大学です。
3年生になると全員がゼミに参加し、2年間かけて卒業論文に取り組みます。コンパ、旅行など学生生活の大半をゼミの仲間と過ごすため、指導教員と学生、学生同士の絆は固く、卒業後も交流が続きます。
杉山武彦学長は「ゼミのOB会は現役の社長から学生まで、世代を超えた人々が集まる場となっており、ゼミはまさに一橋大学の結束のコアなのです」と話しています。
国際戦略を改革の核に据え
海外で戦える人材を育成する
「一橋大学をアジアNo.1、世界Only oneの社会科学系総合大学とする」という大きな目標を掲げる杉山学長は、前述した4つの具体像を示し、改革に取り組んでいます。特に重視しているのが国際戦略です。
教育面では国際交流を組み込んだカリキュラムをスタートしました。従来からの協定校との1年間の交換留学プログラムに加え、短期海外研修(2)や短期海外語学研修(3)などのプログラムがあります。昨年からは、短期海外研修の一環としてスペインの企業で実習に参加する海外インターンシップもスタートしました。マーケティングリサーチのプログラムなどを担当し、実務を通して異文化を体験し、キャリアアップを図ります。
さらに、半年程度の中期派遣・交換留学などの新しいプログラムも検討しています。
「将来的には、すべての学生が4年の間に最低3か月くらいを協定校で学ぶという構想」(杉山学長)の実現に向けて努力しています。
アジア研究で世界のトップを
目指し、ブランド価値を高める
研究面では、戦略的にアジア研究を重視しています。
「研究は本来、研究者の関心と使命感に基づく自由で多様なものであるべきですが、大学のブランド価値を高めるための戦略として、アジア研究では世界でトップとの評価を得ることを目指します」(杉山学長)
世界水準の専門職大学院を目指す国際・公共政策大学院にはアジア公共政策プログラムを設け、アジアにおける経済と公共政策のエキスパート育成を目指しています。
同窓会組織「如水会」が
教育・研究を強力に支援する
国際戦略のほかにもさまざまな改革を進めています。学部では成績評価にGPA制度を取り入れ、学業優秀学生奨学金制度もスタートしました。前年度の成績優秀者(各学部1学年1人)に年間96万円の奨学金を付与する制度です。
商学部と経済学部では、学部教育と修士課程をリンクさせ、5年間で修士号が取得できる5年一貫教育を導入しています。
05年にキャリア支援室を発足させ、就職支援とキャリア教育にも力を注いでいます。卒業生約150人を講師に迎え、少人数の対話式授業を産業別に行う「キャリアゼミ」や、OBがオムニバス形式で講義する「社会実践論」など、特色ある科目を提供しています。
他大学との教育プログラムの連携も進んでいます。多摩地区の国立大学などとの間では「単位互換協定(4)」を結んでいます。また、「四大学連合(5)」にも参加し、学生が自らの関心に基づき他大学でも学ぶ機会を提供しています。
一橋大学は、卒業生の絆が極めて緊密なことで知られています。同窓会組織「如水会」は、国立大学では異例の強い結束力を誇り、母校の後援組織として研究や教育を支援しています。「キャリアゼミ」や「社会実践論」はその一例です。如水会が学費、旅費、現地での生活費を支給する海外留学奨学金制度は30年の歴史を誇り、毎年30数人の学生が海外に旅立っています。
「学生の自主的活動が活発な本学で
学び、各界で活躍する人材に」
こうした学風のため就職には恵まれた環境にあり、一橋大学の出身者が各界のリーダーとして活躍している原動力となっています。
「大学生活は自由選択と自己責任が基本」と語る杉山学長は、次のように高校生にエールを送っています。
「本学は、文化祭や新入生のオリエンテーションを学生が主体となって実施しており、各大学関係者から驚かれるほど学生の自主的活動が活発です。一橋大学は、その気になればいろんなことができる大学です。ぜひ、本学で学び、卒業後は各界で活躍して下さい」
“Captains of Industry”
を建学の精神とするリベラルな学風。
伝統のゼミナールをコアとする教育。

(2)短期海外研修 長期海外留学を目指す学生のため、語学能力向上と異文化の体験と国際理解を深めることを目的とする。オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学または中国・北京大学で約1か月学ぶ。
(3)短期海外語学研修 夏休みの1か月間、米国・スタンフォード大学とU.C.デービス校で、正規の単位取得科目として英語の授業を受ける制度。大学寮またはホームステイで、24時間英語漬けの日々を送る。
(4)単位互換協定 東京外国語大学、東京農工大学、電気通信大学、東京学芸大学、津田塾大学との協定。一橋大学にはない各大学の特色あるカリキュラムの中から指定された授業科目を在学中通算して60単位まで履修できる制度。履修した他大学の単位は卒業要件の単位として扱い、自由選択の科目に参入される。2005年度からはEUコースを開始して、国際基督教大学とも単位互換協定を結んでいる。
(5)四大学連合 学際領域と複合領域の教育の推進を図るため、一橋、東京工業、東京医科歯科、東京外国語の国立4大学が形成。複合領域コースには「総合生命科学コース」「海外協力コース」「生活空間研究コース」「科学技術と知的財産コース」「技術と経営コース」「文理総合コース」「医療・介護・経済コース」があり、コースを履修した学生には、関連する他大学に編入学できる制度もある。
