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ノーベル賞受賞博士を4人輩出した
自由闊達な気風
濱口道成(はまぐち・みちなり)総長

名古屋大学は自由闊達な気風で知られる総合大学です。昨年は、OB2人を含む3人の大学関係者がノーベル賞を同時受賞する快挙を遂げました。今春就任した口道成新総長は、「国際的視野と複眼的視野を併せ持ち、社会的・精神的に自立した人材の育成」を教育目標に掲げ、教育のさらなる充実を目指しています。自立と複眼的視野を養うために、全学共通で行う教養教育の見直しに着手。国際化推進のため、英語教育に新カリキュラムを導入しました。さらに、学部留学生増に向け、2011年秋から全講義を英語で行うコースを導入する予定です。濱口総長は「名古屋大学をNagoya Universityにする」と抱負を語っています。

名古屋大学は、9学部13大学院研究科を擁する、中部地区の中核をなす総合大学です。学部・大学院に16,000人が学び、留学生は1,300人を超えています。グローバルCOEに7拠点(1)が採択される研究力は、研究科間の連携をその特色としています。また、在学生の75%を地元中部地方の出身者が占め、地元産業界、行政、地域医療などで卒業生が役割を果たす、中部地方の人材の一大供給源となっています。

「教員と学生が遠慮なく
議論できる雰囲気」

昨年、名古屋大学は歓喜に沸騰しました。理学部OBの益川敏英、小林誠の両博士(2)と、理学部で助教授を務めた下村脩博士(3)が、ノーベル賞を同時受賞する快挙を遂げたのです。大学関係者のノーベル賞受賞は、2001年の野依良治特別教授(4)に続き4人となりました。

「1939年の創立以来培ってきた、自由闊達で、学部間の垣根が低く、研究者間や教員・学生が遠慮なく議論できる雰囲気が、世界に認められる研究者を輩出した土壌にある」と口総長は指摘しています。「大学に来てみれば分かりますが、名古屋大学には門も塀もありません。それが、自由闊達の象徴です。本学には、京都賞を受賞した青色発光ダイオードの赤M勇特別教授やカーボンナノチューブの飯島澄男特別招へい教授らノーベル賞の候補に名の挙がる研究者もおり、東大や京大に比して規模の小さい大学ですが、独創的な研究力を持つと自負しています」

「国際的視野を持ち、
精神的・社会的に自立し、かつ、
複眼的視野を持った人材」

濱口総長は就任にあたり、「国際的視野を持ち、精神的・社会的に自立し、かつ、複眼的視野を持った人材を育てていく」と表明しています。「食糧、エネルギー、環境など地球規模の問題も、少子高齢化、社会保障など国内の問題も、現代の課題は20世紀型の科学技術の方法では解決できません。新しい発想と判断力、行動力、組織力を持った人材が求められます。将来、そうした人材となるためには、自らの価値観や行動規範の骨格を作る19、20歳の時期に、社会的・精神的に自立し、幅広い学問(ものの考え方)に触れることが、ぜひ、必要です」

濱口総長は、「自立とは、情報が氾濫する世界にあって、ものごとの真偽・優劣を自ら判断できる力であり、そのためには、国際的かつ複眼的視野の涵養が不可欠」と指摘しています。

学生の自立を促し、複眼的視野を養うため、教養教育の見直しを行います。キーワードは、「100年を経ても色褪せていない真理」です。濱口総長は説明します。「情報の氾濫する世界で学生の判断力を鍛えるためには、数十年、数百年の時間を超えて真理であり続けていることを学ぶことです。学問、とくに自然科学の分野は、近年、その発展のスピードが著しい反面、10年前の常識が非常識になるなど、真理が不安定で、その賞味期限が短くなっています。

 

しかし、時代の荒波に洗われてなお普遍であり続けていることこそが真理であり、どの分野にもそれはあるはずです。人生の骨格を形成する1,2年生で学ぶ教養教育では、学生が生涯を通して影響を受けるような真理の伝達に力を注ぎたいと考えています」

名古屋大学を
Nagoya Universityに

国際化では、「地元で生まれ育ち、地域性の強い学生を4年間で国際人とすること」と、「名古屋大学をNagoya University とすること」を目標に掲げています。

国際化の基礎となる語学力の育成のため、今年度から英語教育に新カリキュラムを導入しました。授業は習熟度別のクラスとし、学術論文の読解力と論文執筆能力の向上を図るため、パラグラフ・ライティング(論理的文書作成技法)と、パラグラフ・リーディング(論理的文書読解技法)を導入。さらに、通常の授業とeラーニングによる補完授業を併用するブレンディッド学習法も採り入れています。

学生の海外派遣にも積極的に取り組みます。手始めとして、協定校での語学研修や短期留学を正課の科目として単位認定する制度を整備し、学生が海外で学びやすい環境を作る予定です。

留学生のさらなる受け入れも推進します。現状では、留学生の大半は大学院の学生ですが、学部にも多くの留学生を受け入れるため、2011年秋の実施を目標に、理系・文系それぞれに英語による学位取得コースを新設する予定です。同コースの学生は、2年間を学部の垣根のないコースで学び、後半の2年間は各学部で専門教育を英語で学びます。

「留学生の数は現在の2倍とするのが目標です。それにより、日本人学生が文化の衝突をキャンパスで体験し、国際人としての素養を身につけることも期待しています」( 濱口総長)

「自分の人生を大切に」
「大学はやりたいことを見つける場」

名古屋大学のOBでもあり、腫瘍生物学などを専門とし、長く癌の研究に身を捧げてきた濱口総長は、受験生に次のようなメッセージを送っています。

「自分の人生を大切に。自分の生きていく道を見つける最初の場所が大学です。大学で、生涯をかけて本当にやりたいことは何かを見つけてください。名古屋大学には、そのヒントがたくさんあります」

 

 

 

 

 

 

 

 

下村、益川、小林の3博士が、ノーベル賞を同時受賞。
英語教育に新カリキュラムを導入。自立した人材を育成。
名古屋大学が推進するAcademic English教育プログラム
(1)グローバルCOEの7拠点 2009年度に「地球学から基礎・臨床環境学への展開」(学際、複合、新領域)、2008年度に「機能分子医学への神経疾患・腫瘍の融合拠点」(医学系)、「宇宙基礎原理の探求_素粒子から太陽系、宇宙に至る包括的理解_」(数学、物理学、地球科学)、「マイクロ・ナノメカトロニクス教育研究拠点」(機械、土木、建築、その他工学)、2007年度に「システム生命科学の展開:生命機能の設計」(生命科学)、「分子性機能物質科学の国際教育研究拠点形成」(化学、材料科学)、「テクスト布置の解釈学的研究と教育」(人文科学)の計7拠点が採択。
(2)益川敏英、小林誠の両博士 益川博士は1962年理学部の卒業。大学院理学研究科に進学し、博士号を取得。70年まで理学部で助手を務めた。現在、特別教授。小林博士は67年理学部の卒業。72年に理学研究科を修了し、博士号を取得した。現在、特別教授。両博士は大学院の同じ研究室で学び、その後、共同で研究した「クォークの世代数を予言する対称性の破れの起源の発見」により、2008年のノーベル物理学賞を受賞。
(3)下村脩博士  1951年、長崎医科大学薬学専門部(現長崎大学薬学部)卒。60年に名古屋大学で理学博士号を取得。63年から2年間、理学部助教授を務めた。現在、特別教授。「緑色蛍光たんぱく質の発見と発光機構の解明」により、2008年ノーベル化学賞を受賞。
(4)野依良治特別教授  1961年京都大学工学部卒業。68年、29歳の若さで、名古屋大学理学部助教授に就任した。72年同教授。2001年、「ルテニウム錯体触媒による不斉合成反応の研究」により、ノーベル化学賞を受賞。
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