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伊都キャンパスに全学教育が移転
2020年には学生の1/4が
英語コースの国際大学に
有川節夫(ありかわ・せつお)総長

2011年に創立100周年を迎える九州大学は、次の100年を見通し、「知の新世紀を拓く」をコンセプトに「人類の未来を切り拓くリーダーの育成」を教育目標に掲げ、改革を進めています。2005年にオープンした21世紀型の伊都キャンパスには、今春、全学教育が完全移転し、学生・教職員合わせて約1万2千人が集う九州大学で最大のキャンパスになりました。昨秋就任した有川節夫新総長は「気付かせる教育」を目指すとともに、大学の国際化推進のため、10年後に全学教育の4分の1を英語コースとする、極めて大胆な大学改革を構想しています。大学院でもユニークな改革が続けられています。

「都市とともに栄える大学」

九州大学は11学部18学府(大学院)を擁し、約18,600人の学生が学ぶ総合大学です。有川節夫総長は、「アジアを重視した世界の拠点大学」「日本を代表する基幹総合大学」「都市とともに栄え、市民の誇りと頼りになる大学」を目標に掲げ、大胆な改革に取り組んでいます。グローバルCOEに5拠点が採択されるなど研究力に卓越するほか、21世紀プログラム(1)の実施、大学院での新学府開設や大学院共通教育の導入など、教育面でも改革が進んでいます。

市民と日常生活を共にする
未来型キャンパス

九州大学は、福岡市西部と隣接市町にまたがる伊都地区に広大なキャンパスを新設し、新時代を迎えました。今春には全学教育が完全移転しました。

伊都キャンパスは未来型のキャンパスで、図書館、スポーツ施設、飲食施設、今後建設予定の博物館や宿泊施設などを開放し、市民と学生、教職員が日常を共にできる活気ある空間となります。また、燃料電池システムで電気や湯を供給し、燃料電池で動く車が走る「ミニ水素社会(2)モデル」とするなど、先端研究の実証実験の場でもあります。

有川総長は、「立派な都市には立派な大学があり、都市と大学がともに栄えています。九州大学は今後も、地域とともに発展していきたい」と語っています。

「九大の授業はすべて
自前の教材」を目標に

就任にあたり、有川総長は「気付かせる教育」を活動指針の一つに掲げました。「学生は、皆高い能力を持っているにもかかわらず、そのことに気付いていません。自らの能力の高さに気付かせる教育が必要」と有川総長は語ります。

「気付かせる教育」はカリキュラムを作って一朝一夕に実現できるものではありません。「何より大切なのは、教員が常に『君にはもっと能力がある』と語りかけること」だと、有川総長は指摘します。

しかし、語りかける教員の言葉に重みや説得力がなければ、絵に描いた餅です。そのため、教員には授業で使う教科書や教材を自ら執筆・作成することを奨励し、大学が全面的に支援する体制を整備することにしています。「教員は自ら学問に取り組む姿を見せることでしか、学生の尊敬と信頼は得られません。他者が書いた教科書を使っていては、大学の教員として、その言葉に十分な説得力は生まれません。図書館には教科書や教材作りを支援するセクションを作り、九大の講義のほとんどは、教員の自前の教材で実施することを目標とします」(有川総長)

これまでも、教育改革は続けられてきました。2001年にスタートした21世紀プログラムは、全国に類例を見ない取り組みです。

全国に類例を見ない
21世紀プログラム

プログラムの学生は学部には所属せず、専門の必修科目もありません。履修を希望すればどの学部の授業も受講でき、学生は自分でテーマを定めて独自のカリキュラムを作成し、自主的自律的に学問に取り組みます。今後は海外留学を義務づけ、より国際色の強いプログラムとする考えです。

2006年度には全学教育を刷新し、コアセミナーを開講しました。「読む、書く、調べる、発表する、討論する」といった学問を進めていく上での基礎的な能力の育成を目的とする科目です。全学生必修で、授業は少人数で実施されます。

大学院でも改革が進んでいます。全国の大学に先駆け学府・研究院制度(3)を導入し、制度改革後、新分野のシステム生命科学府(03年)や、芸術工学府デザイン・ストラテジー専攻(06年)、「ユーザー感性学専攻(4)」と「オートモーティブ・サイエンス専攻(5)」の2専攻を置く統合新領域学府(09年)が誕生しました。

大学院共通教育プログラムも導入しています。大学院の共通教育はユニークな取り組みで、職業倫理や環境保護、技術経営、知的財産などに関する科目があります。

4分の1の学生が英語だけ
で学ぶ国際基幹大学へ

約1,500人の留学生が学び、国際化も顕著な九州大学ですが、世界のグローバル化により積極的に対応するため、2020年までに、学部学生の25%が、英語で実施する授業だけで全学教育を学ぶ極めて大胆な改革を構想しています。日本人学生も留学生とともに学ぶことができるようになります。また、海外に留学する日本人学生の数も、現在の200人から1,000人規模に増加できるよう準備を進めています。

これにより、九州大学は日本で有数の国際色豊かな大学になることは間違いありません。

「実施は10年後ですが、準備のため、外国人教員や外国語に堪能な教員の採用を増やします。当然、語学以外にも英語で実施する授業の数は増えていきます」(有川総長)

社会のリーダーとなって
世界に羽ばたく学生を

「大学でしっかり勉強し、世界で活躍するリーダーとなりうる学生を育てる」と語る有川総長は、受験生にメッセージを語っています。

「皆さんは、まだ気付いていないかもしれませんが、皆それぞれすごい力を持っています。九大に来て、その力を十分に開花させてください」

 

次世代技術の実証実験の場となる新キャンパス
「気付かせる教育」専門性の高いゼネラリストを育てる21世紀プログラム
全学教育が完全移転し、センターゾーンのオープンを迎えた伊都キャンパス
(1)21世紀プログラム(21CP) 社会のリーダーとなる高い専門性を備えたゼネラリストの養成を目的として2001年にスタート。独自のAO入試で選抜した学生(募集人員26人)は、どの学部にも所属せず、チューターの教員から指導を受け、自らカリキュラムを作成し、大学生活を送る。1、2年次は全学教育科目のほか、学内外の専門家や著名人を講師とする課題提示科目や少人数制の21CP英語など、21CP独自の科目を履修。テーマに基づいて徹底的に討論するプログラム・ゼミや、渡航費や滞在費を支援される留学制度や短期語学研修制度もある。
(2)水素社会 高効率の燃料電池を用い、水素を電気や熱に変換し、電力供給や自動車の燃料とする社会。CO2を排出しないため、地球温暖化を防ぐエネルギーとして期待されている。
(3)学府・研究院制度 教育研究組織だった大学院研究科を、教育組織の学府と研究組織の研究院に分離することで、教育・研究それぞれの組織を、それぞれの必要に応じて独自に編成することを可能としたもの。新しい分野や融合的分野の教育や研究への迅速な対応が可能となる。北海道大学や千葉大学などでも取り入れられている。
(4)ユーザー感性学専攻 感性の研究教育を通じ、さまざまな知をユーザーの感性と融合させ、個人と社会の満足を創造できる新しい高度専門人材を育成する。「感性科学」「感性コミュニケーション」「感性価値クリエーション」の3つのコースからなる。
(5)オートモーティブ・サイエンス専攻 自動車をサイエンスの対象として捉え、技術的側面からのみならず、人間社会や地球環境との共生などのさまざまな視点から、工学、デザイン、社会科学など幅広い知を統合し、新たなオートモーティブ社会を創造する人材の育成を目指す。
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