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地域医療に貢献する
優れた臨床医を社会に送り出す
石川直久(いしかわ・なおひさ)医学部長

愛知医科大学は高度救命救急センターを擁し、ドクターヘリを運行する中部東海地方の地域医療の中核を担う医系総合大学です。新時代の医学知識と技術を身につけ、地域社会に奉仕する臨床医の養成を使命とし、早期体験実習や問題解決能力を養うチュートリアル教育、臓器系統別の基礎・臨床統合型教育など特色あるカリキュラムを編成しています。また、医学教育センターを設置し、教育の充実を図るとともに、学生の要望を反映してカリキュラムを改善する体制や、時代のニーズに相応する最新の医療を学んでいける体制の整備にも取り組んでいます。

愛知医科大学病院は、高度救命救急センター(1)を擁する中部東海地区を代表する病院です。また、ドクターヘリ(2)の運行を行う全国18施設の一つでもあり、地域医療の中核としての重い役割を果たしています。

愛知医科大学は教育目標として、「基本的知識・技術、態度・習慣を身につけ、生涯にわたる学習の基礎を作る」「自主性・創造性を身につけ、問題解決能力を高める」「予防から診療、リハビリまで医療を総合的に捉え、社会的諸問題と関連づけて考える力を伸ばす」を掲げています。その使命は、社会に求められる地域医療に貢献できる臨床医を育成することにあります。

チュートリアル教育で、
問題解決能力を養う

医学部長の石川直久教授(副学長)は、地域医療を担う臨床医に必須の能力として、重要疾患についての診断・診療能力、患者さんの訴えを理解できるコミュニケーション能力、医療全般に精通しプライマリ医療(3)に対応できる総合的能力の3つを挙げています。

そうした能力を育むため、「6年一貫教育」「学生の自主性を伸ばし、問題解決能力を高める」「診療参加型臨床実習の重視」「少人数教育」「学外体験実習の機会提供」――などを特徴とする、モデル・コア・カリキュラム(4)に対応したカリキュラムを導入しています。

1学年次から課題について少人数で調査・討論するチュートリアル教育を導入し、問題解決能力を養います。また医学生としての自覚を高めるため、大学病院で早期体験実習も実施します。入院患者さんの生活や心理についての理解を深めるとともに、医療スタッフや病院各部門の役割を知ることが目的です。看護師とペアを組みベッドメーキングなど看護業務も体験し、チーム医療を学びます。

学外施設で
1次、2次医療の現場を学ぶ

2学年次には心身障害者施設、4学年次には老人保健施設で体験実習を行います。ボランティアの協力を得て行う模擬診察勉強会では、医学知識や技術だけでなく、相手の気持ちに配慮した言葉遣いや態度など医療者のマナーの習得を目的とした医療面接の実習を行います。

5、6学年次には医師国家試験に向けた知識の整理を目的として、「重要疾患講義」と「テーマ別講義」からなる「総合医学」を学びます。「テーマ別講義」とは、各科目の授業を縦糸の講義とするなら、それらを横糸で繋ぐ講義です。例えば「めまい・頭痛」というテーマに対して耳鼻科、脳神経外科、神経内科など各科の教員が打合せを行い、ひとつの総合的な講義を行います。

 

「勉学へのモチベーションを高めるため、1学年次にも専門科目の講義を組み込んでいます。6年間に何を身につければよいか学生が考え、自ら学ぶ姿勢を培うきっかけともなります。また、高学年のテーマ別講義に基礎医学を組み込み、忘れかけた知識の定着を促す工夫もしています」と、石川医学部長はカリキュラムの特色を語っています。

5学年次の臨床実習で、近隣の大病院での学外臨床実習を取り入れているのも特徴です。「本学は1次医療から3次医療まで幅広い診療体制となっていますが、大学病院の中核機能は3次医療です。近隣の病院では、1次、2次医療の現場で教育を受け、プライマリ医療を実践的に学ぶことができます。また、ドクターヘリや救命救急センターと連携して、救急医療を学ぶ場も提供しています」(石川医学部長)

卒業生の指導体制の充実に
取り組む

医学教育の司令塔の役割を果たしているのは、医学教育センターです。センターでは学生アンケートにより授業評価を行うほか、学生懇談会を開催し、学生の要望に最大限に応えるシステムを整えています。「教員が良かれと思って企画しても、学生には難しすぎたり、退屈だったりすることもあります。教育効果を最大とするには、学生の要望に耳を傾けることも大切です」(石川医学部長)

また、卒業生への指導体制の充実にも取り組んでいます。「近く、医学教育センターと卒後臨床研修センターを統合し、卒業生が新しい医療を学び続けていける体制を整備する計画です」(同)

「学生の学ぶ意志を尊重する
自由な学風」

「自由で、勉強を強制しないことが愛知医大の学風です」と石川医学部長は語ります。「自分の意志で学ぶことが大切で、意欲ある学生には、とことん学習をサポートします。そのため、1学年次から指導教員制度を敷き、教員との関係が多くの学生の心のよりどころとなっています」

入試では面接を重視しています。学生の医学を志す意欲と、6年間という長い月日を勉学に打ち込む覚悟を確認することが狙いです。

石川医学部長は医学部を目指す学生に、次のようなメッセージを送っています。

「医学の発展により、医学部で学ぶ内容はかつてないほど大きくなっています。なぜ、医師を目指すのか、確かな目的意識と、強い意欲と忍耐力がなければ、6年間の医学部教育には耐えられません。本学は、確かな基礎学力と意欲・忍耐力を兼ね備え、医学を学ぶ高いモチベーションと覚悟を持った学生を求めます」

 

早期体験実習、学外臨床実習など、実習重視の教育プログラム。
高度救命救急センターを擁する中核病院。
愛知医科大学本館
(1)高度救命救急センター 切断や広範囲の火傷、薬物中毒など重篤な患者を扱う第三次救急医療機関をいい、全国の21施設がその認定を受けている。第三次救急医療機関とは、複数の診療科領域にわたる重症な救急患者に対し、高度な医療を総合的に提供する医療体制があること、重篤な患者に対し高度な治療が可能なこと、医療従事者(医師、看護師、救急救命士等)に対し、必要な研修を行う体制を有するなどの条件を満たす医療機関。
(2)ドクターヘリ 初期治療に必要な医療機器を搭載した救急専用のヘリコプターを利用して、救急医療に精通した医師・看護師を派遣し、初期治療・本格的救急医療を迅速に行うための医師・看護師派遣システム。
(3)プライマリ医療 1次医療ともいい、全診療科にわたる幅広い医療知識を備えた「総合医」が、初期診療や健康相談・健診などを行う。これに対し、2次医療は入院や検査などが必要な診療を行い、3次医療は心筋梗塞・脳卒中・頭部外傷・癌など重篤な患者を診療する。
(4)モデル・コア・カリキュラム 患者中心の医療の実践、安全性への配慮、信頼される人間関係、課題探求・問題解決能力の育成などを目標とし、文部科学省が作成した医学教育のカリキュラム。3分の2をカリキュラムに取り入れることを、大学医学部に求めている。
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