社会の最前線で活躍できる人材を育成する「成城教育」
昨年、学園創立90周年を迎え、未来を見据えた大胆な改革プロジェクト「成城大学イノベーションプロジェクト」が進む成城大学。2005年度に社会イノベーション学部を開設したのをはじめ、06年度には経済・文芸両学部で、07年度には法学部で新カリキュラムがスタート。全学共通教育カリキュラムも07年度より全面実施に踏み切っています。一方、ハード面では05年度の8号館竣工に続き、07年9月には学生ホールを備えた新3号館がオープン。伝統的な「成城らしさ」を継承しながら、新しい時代にマッチした大学をめざした成城大学の改革は、いよいよ完成の第一段階を迎えます。
独自のカリキュラムが生み出す
ハイレベルな英語力
日本で初めて「イノベーション(1)」という言葉を学部名に冠した「社会イノベーション学部」は、今年第一期生が4年生となり、全学年が揃いました。改革プロジェクトの中核として誕生した同学部は「政策」「戦略」「心理」「社会」という四つのキーワードから、社会を発展させていく原動力となる「イノベーション」を読み解いていこうというユニークな学部です。そのための実践的なツールとして重視されているのが英語力。第二外国語が必修科目になっていない分、英語関連の科目を質量ともに充実させています。
学部独自の3年間継続したカリキュラムによって、1年次には聞く・話す・読む・書くという英語全般の基礎固め、さらに読解力、オーラルコミュニケーション能力を徹底して修得します。2年次にはスピーチやプレゼンテーション、研究レポートやビジネス文書の作成など、英語を使って仕事をする具体的な場面を想定した授業が中心となります。3年次になると英文資料の読解・説明、プレゼンテーション、ディスカッション、小論文作成までをすべて英語で行うセミナーに参加し、総合的・実践的な英語力に磨きをかけます。さらに、3年までは年に1回学部生全員にTOEIC受験が義務付けられており、卒業までに600点をクリアするよう厳しい成績管理が行われます。
昨年度のTOEICの結果、同学部の学部生のTOEIC総合スコアは、同年代の全国平均を100点前後上回るという結果が出ました。社会イノベーション学部の斬新な英語教育はすでに成果を挙げています。
全学共通教育カリキュラムで
「成城人」としての教養を身につける
07年から全学部で実施(06年に一部スタート)となった全学共通教育は、学部間の垣根を低くして幅広い教養、判断力と思考力、コミュニケーション能力を身につけようとするものです。雑多な知識を詰め込むのではなく、そこには「成城らしさ」という一つのキーワードがあります。
07年4月に就任した清水眞澄学長はこう話します。
「成城大学の学生イメージは品性が高く、センスが良く、思いやりがあること。その校風が、成城大学が社会から信頼される原点でもあります。いたずらに目先の利益を追うのではなく、50年先、100年先にも通用する深い教養と人間的な魅力を養うのが全学共通教育の真の狙いです」
全学共通教育カリキュラムの特徴的な科目の一つがWRD(2)です。書く・読む・議論するという専門を超えた「考える技術」を身につけることを目的に、あるテーマのもとで1年間、ゼミ形式により学ぶというもので、学生にきわめて高い人気を博しています。
また「明治」「生と死」「環境問題」などをテーマとした総合科目も開講。さらに、成城学園とかかわりの深い民俗学者・柳田國男(3)の業績や、日本の教育界で成城学園が果たしてきた役割の考察、成城の街の景観に関するフィールドワークなどを行う成城学(4)を学ぶことで、「成城らしさ」を身につけていきます。
ほかに外国語、IT、キャリアデザインなど、大学教育の基礎となる科目群がラインナップされています。
経済・文芸に続き、法学部でも
新カリキュラムがスタート
カリキュラムの改革は学部レベルでも進められています。06年度、経済学部では卒業に必要な124単位中46単位を自由設計枠とし、キャリアプランに合わせた科目選択ができるシステムに一新されました。文芸学部では主専攻・副専攻制度を導入し、より幅広い、学際的な学習が可能になっています。
そして07 年度、法学部でも「Back to the Basics~法律学の原点に立ち返って~」をスローガンとした新カリキュラムがスタートしました。特徴は基本の重視、少人数教育、進路別コース制の3点。進路別コースとしてA法律の専門職をめざす「法曹コース」、B銀行・商社などの民間企業への就職を視野に入れた「企業と法コース」、C公務員として活躍するための「公共政策コース」、D外資系企業・国際公務員などをめざす「国際社会と法コース」が用意されています。
清水学長は「企業の法務、国際社会での法知識を持った人材、さらに公共経済の専門家は、今後ますます社会で求められるようになるでしょう。基本を重視しながらも、キャリアプランを見据えた学びが実現できるよう配慮しました」とカリキュラム改革の狙いを説明しています。
新3号館の完成で、
学生生活の新しい拠点が誕生
最新のマルチメディア設備・機器を備えた8号館が05年にオープンしたのに続き、07年には新3号館が完成しました。新3号館は地上8階・地下1階建てで、シンポジウムの会場にもなる450席の大教室や、経済・文芸・社会イノベーションの各学部の研究室が入っています。
中心軸は1階に設置される学生ホール。「ひと」が主役になる場、学部を横断して情報交換できる場として、大いに活用されています。
清水学長は「成城学園のすばらしさは、幼稚園から大学までがワンキャンパスであることです。園児から大学生までが同じ敷地でふれあうなかで、他者への理解や洞察力、感性、自らを律する品格が磨かれます。それが「成城らしさ」にもつながるのではないでしょうか。成城大学で学ぶみなさんには、ぜひ『成城DNA』を持って卒業していってほしいですね」と受験生にエールを送っています。
(1)イノベーション 狭義には産業界における技術革新を指すが、近年では社会をダイナミックに変える原動力やそのプロセスなどを多角的に指すことが多い。文化、経済、環境などあらゆる分野でその発想が期待される21世紀のキーワード。(2)WRD科目 Write・Read・Debateの頭文字から命名された。テーマの発見から文献検索、読解、観察、発表、議論まで、大学での学びに必要な技術を身につけることが目的。1クラスを22人に限定し、徹底した実践を行う。
(3)柳田國男 日本民俗学の創始者。成城在住だったことなどから関わりが深く、没後、遺言によって蔵書約3万7000冊が成城大学に寄贈された。それを元に柳田文庫が発足。これを母体にして昭和48年、大学の附置研究所として民俗学研究所が創設された。
(4)成城学 大学オリジナルの教養科目の一つ。成城学園に関する知識、成城という街の歴史や地理、成城の自然、成城の民俗誌の4つの分野で構成される。成城で学ぶ意味を問い直し、成城人としてのアイデンティティーを養うことが目的。
