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    大学入門講座

    大学入試を読む

    大学の二極化進み、志望校選びが難しい時代へ

     ここ数年、私立大の志願者は増加傾向ですが、大学に入りやすい状況は変わっていません。志願者が集まる大学と集まらない大学で、「大学の二極化」が進んでいます。

     どういうことかといいますと、やがて、大学は「入試を実施しても全員合格に近いため、試験を実施する意味があまりない大学」と、「厳しい入試が展開される難関大学」との二極に分かれていくということです。

     このような状況になってきますと、志望校選びが難しくなります。学力を測る尺度である偏差値が、全入の大学では役に立たなくなります。およそ4割の私立大で定員割れが起きているわけですから、進学しようと思えばどこかの大学に進学することが可能です。それが進みたい大学であれば、いうことないわけですが、なかなかそうはうまくいきません。難関大の入試は厳しいままだからです。

     大学の選び方は大きく分けて3通りあります。ひとつは大学で学びたいことが決まっていて、それを実現できる大学を選ぶという方法です。その分野で学べば、大学卒業後の進路まで考える余裕があり、目標が早く定まります。もっともオーソドックスな大学選びの方法です。

     一方、行きたい大学が決まっている場合もあります。どうしても○○大学に行きたい場合は、学力と相談しながら、その大学で自分が学びたい分野を探し、受験する学部を決めていくことになります。特に文系でよく見られる方法です。
     最後は前記のどちらでもないという時の選び方です。これは様々な視点から選んでいくことになります。この場合、学力で合格できそうな大学を選びがちになりますが、これはあまり感心しません。

     その前に自分なりに絞っていくことが必要です。高校で既に文系か理系かは選んでいるはずです。さらに、自分に向くかどうかもそれぞれの学部で何を学ぶかを知れば、わかってくるでしょう。大学選びについても、自宅を離れて進学していいかどうか、親と相談して決めれば絞ることができます。また、学部によって学費の差もあります。表4の学部系統別の平均の学費を参考にしてください。ぼんやりとでもいいから、進学したい学部、大学を決めていくことが大切です。

    どのような方法で大学に入学していくか

     大学の二極化が進んできますと、どのルートで大学に入学するかも重要になってきます。その中で人気を集めているのが推薦・AO入試です。

     表5を見てください。これを見ますと、一般入試での入学者が、国立大では84.5%、公立大では73.0%と高率ですが、私立大では08年に初めて5割を切り、17年は48.6%になりました。私立大では一般入試より推薦やAO入試などで入学する学生の方が多くなって、昨年も5割を超えています。それだけ、私立大では、入試における推薦やAO入試の比重がアップしているわけです。

     推薦入試は高等学校長の推薦を受けて出願しますが、多くの場合、出願に際して高校在学中の成績基準が設けられています。評定平均値が4.0以上というようにです。これは高校1年、2年と3年の1学期までの成績を平均した値です。これが一定のレベル以上であることが必要なのです。さらに、学業成績だけでなく、課外活動を評価する推薦入試も多くなっています。

     私立大の推薦入試では、大きく分けて指定校制と公募制の二種類があります。

     指定校制推薦では、応募できる高校が大学によってあらかじめ決められています。難関大で多く実施され、面接や小論文などの試験がありますが、出願すればほとんどの場合、合格になります。ただ、各高校から応募できる人数が1人など募集枠が小さく、高校内での選考を通過できるかどうかが重要になってきます。

     一方の公募制推薦は高等学校長の推薦を受けることは同じですが、成績基準を満たしていれば、どこの高校からでも出願できるのが特徴です。一般入試に比べて小論文、面接が中心のため科目負担が軽く、関西の大学などでは学力試験を課しますが、一般入試より科目数が少ないところが多くなっています。また、推薦入試では合格=入学が原則ですが、関西の大学などでは、他大学との併願を認め、合格後に入学する大学を決められる一般入試のような推薦入試も多くなっているのが特徴です。

     これ以外にも、スポーツの成績を重視したスポーツ推薦、学校長ではなく自分で自分を推薦する自己推薦などがあり、方式もバラエティに富んでいます。

     AO入試は93年まで1校しか実施していませんでした。90年に慶應義塾大が始めた方式です。それが近年、実施校が急増し、17年は国公私立大あわせて554校が実施しました。2001年以降増えており、まさに「21世紀型の選抜」といっていいでしょう。AOとはアドミッションズ・オフィスの略で、アメリカの大学で行われている一般的な選抜方式です。

     AO入試は入学を希望する受験生と大学が面接を通して、お互いに納得して入学する、させるという方式です。推薦入試での高等学校長の推薦や出願の基準である高校在学中の成績基準などは設けられていないのが普通です。ただ、高校でのクラブ活動、ボランティアなどの社会活動の取り組みなどが求められます。自己推薦に似ていますが、入試の中心は複数回実施する面接です。なかには小論文や学科試験を課す大学もあります。

     面接では「高校時代、何をしてきたか」「この大学・学部を選んだ理由は」「大学に入学したら、何をしたいか」などを聞かれるのが一般的です。自分をさらけ出す選抜になるため、自分をどうアピールできるかが合否の分かれ目になります。

     ただ、推薦やAOの選抜では科目負担が軽いため、学生の学力低下の一因との指摘があります。そのため、調査書の提出を求めたり、国公立大ではセンター試験の成績が必要な大学が増えています。

     16年には東京大が推薦入試を、京都大が推薦・AO入試などで選抜する特色入試を、それぞれ初めて実施して大きな話題になりました。学力試験だけでは計れない、卓越した能力を持つ多様な生徒を獲得するのがねらいです。さらに17年は大阪大が後期日程を廃止して「世界適塾入試」という推薦・AO入試を導入して注目を集めました。東北大では昨年、医学部保健学科、薬学部、工学部、農学部で一般入試の募集人員を減らし、AO入試を増員しましたが、19年入試では文学部、法学部、理学部、医学部医学科でも同様の改革を行いました。私立大だけでなく国立大でも推薦入試やAO入試の比重が高まってきています。

     一般入試は国公立大と私立大では大きく異なります。国立大の入試では、同じ大学で前期と後期2回入試を行うのが一般的です。多くは前期のほうが募集人員が多く、後期は少なくなっています。前期で合格し入学手続きをとると、後期を受験していても合否判定から除外されます。19年で見ますと前期は2月25日から始まり、合格発表は3月10日までに終わります。後期は3月12日から入試が始まります。前期の入学手続き締切日は3月15日です。

     出願は1月22日~1月31日までに統一されており、前期の結果を見てから後期に出願することはできません。後期は前期の敗者復活戦の入試になり、最初の出願時には大変な倍率になりますが、実際の受験者数は少なくなることが多く、学部・学科によっては競争率が1倍台のところも出てきます。最後まで諦めないで粘ることが大切です。さらに、最近では後期を廃止する大学も増えています。東京大は前期のみになりましたし、学部や学科によって前期をやめる大学も増えています。そうなりますと、その大学を受験するチャンスは1回だけとなるわけです。

     一方、公立大は国立大と同じ入試システムですが、前後期の他に中期を設けています。これは3月8日から始まる入試で、大学によって中期を実施する大学と実施しない大学があります。

     国公立大の合否判定はセンター試験の成績と、大学で行う独自の2次試験の得点の合計で行われるのが一般的です。しかもセンター試験の重みが高い大学、学部のほうが多く、センター試験の出来、不出来が合否を左右する場合が多くなっています。

     ただ、国立大でも難関大では大学独自の試験の重みのほうが高くなっています。東京大ではセンター試験110点満点に対して2次が440点満点の計550点で合否判定します。例えば、東京大・文科Ⅰ類の18年の合格最低点は354.9778点です。英語のリスニング(50点満点)を除いた900点満点のセンター試験の成績を110点に圧縮するため、端数が出てくるわけです。センター試験の問題の配点が2点の場合、これを落とすか正解するかで0.2444点変わりますから、この差で不合格になる場合も出てくるわけです。

     また、東京大は学科類で実施しますが、その他の大学でも学部ごとにセンター試験の成績で2段階選抜を行うケースがあります。2次試験の受験者を募集人員の5倍などに制限している大学があり、センター試験の成績だけで門前払いにされてしまうことがあります。

     前述の通り、私立大は同じ大学、同じ学部でも複数回入試が行われており、何度受けてもかまいません。複数の合格校の中から、入学する大学・学部を決められます。

     私立大では近年、入試の多様化が進みました。受験生を多角的に評価しようという狙いで、数多くの方式が実施されるようになってきています。「地方試験」を実施する大学が多くあります。これは大学所在地と異なる地方に試験場を設け、わざわざ大学まで受験に行かなくてもいいようにするものです。

     これ以外にも「試験日自由選択制」があります。これは例えば、3日間同じ学部で試験を実施し、他大学との併願のことを考え、都合のよい日に受験すればいいようにしたものです。どうしてもそこに入りたければ、3日間連続して受けてもいい大学もあります。合格発表は1回で、偏差値法を使って判定し、問題の難易で差がつかないように工夫されています。また、センター試験の成績だけで合否が決まる「センター利用入試」やセンター試験の成績と大学での試験の成績を合計して合否判定する「センター併用方式」などもあります。

     さらに最近増えているのが、「全学部統一日程試験」です。同志社大、立教大、明治大、法政大、青山学院大など多くの大学で実施されています。これまで学部ごとに行われていた入試を、1日で全学部(文系全学部のみなどの場合もある)が入試を実施するというような方式のことです。今まで難関大では受験機会が少なかったのですが、これにより受験機会が増え、人気を集めています。また、英語の外部試験を利用した入試も増えています。15年に上智大がTEAP(アカデミック英語能力判定試験)利用入試という英語の外部試験を利用した全学部型の入試を実施して志願者を増やしました。16年には東京理科大、青山学院大、立教大、法政大、立命館大、関西学院大などが、17年には早稲田大や中央大、明治大などが同様の入試を実施するなど、急速に広がっています。

     多様化しているのは入試だけではありません。キャンパスの新設や移転なども積極的に行われています。

     首都圏では、17年に東洋大が東京・北区に赤羽台キャンパスを新設し、情報連携学部、国際学部、国際観光学部を新設しました。また19年は、桜美林大が東京・新宿区に新宿キャンパスを開設し、町田キャンパスからビジネスマネジメント学群などを移転しました。

     西日本では、17年に大阪工業大が大阪都心の大阪市北区に梅田キャンパスを開設し、ロボティクス&デザイン工学部を新設しました。18年には常葉大が、静岡市に学生数4000人規模の静岡草薙キャンパスを新設し、静岡瀬名キャンパスの教育学部と外国語学部、富士キャンパスの経営学部、社会環境学部、保育学部などを一斉に移転するという大規模な再配置を行いました。

     いずれも利便性の高い場所にキャンパスを新設し、教育資源を集中させることで、学生の学びやすさや、学部間の連携の向上を図っています。

     このような学部・学科の移転、都心キャンパスの新設など、ダイナミックな大学改革は今後も続くとみられます。

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