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    無期懲役って軽い刑罰なの? 【高校生のための「法学」講座 7】


    大犯罪に対して無期懲役判決がなされたときに、テレビなどの一部マスコミの報道で「日本には死刑と無期懲役に差があり、終身刑がないことが問題だ」、「死刑と違って無期懲役では10年から20年ほどで仮釈放で外に出てくる」といった言説を聞くことがあります。しかし、日本の無期懲役刑というのは、そのように簡単に釈放される軽い刑罰なのでしょうか。

    際に、仮釈放が認められた人の平均受刑期間は、30〜35年ほどです(具体的には、2010年が35年3月、2011年が35年2月、2012年が31年8月、2013年が31年2月となっています)。たしかに、20年で仮釈放にならないかもしれないが、それでも35年で仮釈放されるのであれば、やはり死刑よりも軽い刑罰で、死刑と無期懲役の間に仮釈放することができない「終身刑」が必要であるという意見になるかもしれません。

    かし、注意してほしいのは、「仮釈放が『認められた人』の平均受刑期間」といった部分です。ということは、『認められない人』がいるはずだと考えてください。実際には、総数でどれだけの無期刑受刑者が矯正施設にいるかご存知でしょうか。2000年には1,047人だった無期刑受刑者は、毎年増え続け2013年には1,843人になっています。そのうち、仮釈放が認められたのは、2011年は3名(1,812人中:0.2%)、2012年は6名(1,826人中:0.3%)、2013年は8名(1,843人中:0.4%)でした。つまり、仮釈放が認められた人の平均受刑期間は35年ほどですが、そのほとんどの仮釈放が認められていないということが分かります。実際に、50年以上収容されている人も全体の11%以上いらっしゃいますし、矯正施設で獄中死されている無期刑受刑者は、2011年で21人、2012年で14人、2013年で14人おられます。仮釈放で出てくるよりも、獄中死する可能性が高いことが分かるかと思います。

    ういった事実を知ることが、なぜ必要なのでしょうか。それは、日本には裁判員裁判があり、裁判員は被告人が有罪であると判断した際に、刑罰の重さも決めなくてはならないからです。あなたが裁判員として参加している裁判で、誰かが「死刑にするかどうかは難しいが、無期懲役では軽いので死刑にすべきだ」といった意見を出したとしたらどうでしょうか。皆が上記のように無期懲役は決して軽い刑罰ではないことを知らないまま、「そうだね。死刑にしよう」となったとしたらどうでしょうか。

    くのドラマやニュースの関心が「逮捕されたら終わり」、「判決が出たら終わり」となっています。そろそろ、「なぜ犯罪が起きるのか」、「どのように処遇すべきか」を皆で考えていかなくてはならないですね。

    [最終更新日 2015.10.13]

    ※イメージ写真は、立正大学法学部 丸山泰弘ゼミの授業風景です