【1970年~2021年】過去52年の東大合格者ランキングベスト10
世の中が変わっていくように、大学合格状況も毎年、変わっています。それがよく分かるのは、東大ランキングです。1968年~2019年の52年分の東大ランキングの推移(上の画像をクリックするとPDFファイルが開きます)をご覧ください。
時代と共にランキングが動いていることがわかります。60年代は都立高全盛時代でした。戦前の一中(旧制東京府立第一中学)→一高(旧制第一高校)→東大(当時は東京帝国大)のいわゆるエリートコースが、戦後は番町小→麹町中→日比谷高→東大に変わり、日比谷をはじめとする都立高が上位を独占していました。「公立優位」が続いていたのです。
それが大きく崩れたのは、都立高の学校群制度(82年からはグループ合同選抜)の実施です。この制度は受験できる高校を制限し、ひとつの高校に優秀な受験生が集中するのを防ぐのが目的でした。都は教育を福祉と見て、都立高の学費を抑制したため、私立高との格差が広がりました。そのため、都立高人気になったわけです。しかし、トップ校があるから落ちこぼれも出る、教員も進学実績の高い学校に行きたがるようになり、同じ税金で運営されている高校を公平な条件にしたいという観点から、この制度が考え出されたわけです。ただ、この後、都立高の進学実績がこれほど落ちるとは、誰も想像しなかったのです。
それは、学校群制度による卒業生が初めて出た70年に明らかになります。日比谷は5位に急落。以後、ベスト10から姿を消しました。都立高全体でも78年以降、ベスト10に入った学校は一校もありません。
かわって、上位に進出するのが私立・国立の6カ年一貫教育校です。学校群制度が、私立校の追い風になったことは疑う余地がありません。特に現在、38年連続トップの開成は、この制度の卒業生が初めて出る前に61人合格でしたが、70年に86人に増え、その後ベスト10に定着しました。
都立高の制度改革によって、進学実績を伸ばし始めた私立校でしたが、さらに追い風が吹きます。それがカリキュラム改革です。
最近でも2002年から新学習指導要領が導入され、3割削減された内容に、学力低下に不安を覚える保護者が増えて、公教育不信から空前の私立中高人気につながりました。 この学習指導要領改定はほぼ10年ごとに行われ、その度に私立校は東大合格者数を増やしてきたといえます。
90年、初めて東大合格者に占める私立校出身者合計が、公立校出身者の合計を抜き、それ以降、状況は変わっていません。東大進学における私立校優位は、これからも続いていきそうです。
このように、大学合格実績は年々、動いています。3年後、6年後、卒業する時の大学合格実績はどうなっているのか、知りたいところではないでしょうか。確かに合格者が出ない未来の状況を判断することは不可能に思われます。しかし、ある程度、予測することはできます。
判断基準になるのが、その学校の大学合格実績が伸びているのか、下がっているのかということです。前年と比べるだけではなく、長い目でどのような状況にあるのかを判断することが、将来の合格実績がどうなるのか予測する貴重な情報になります。進学に力を入れているのか、そうでないのかは、学校の方針の違いでもあるわけで、将来に大きく関わってくるといえます。
同じ偏差値、同じような合格実績、さてどちらの学校を選ぶか、といった時に、合格実績がこの10年伸びている学校を選んだ方がいいことは明らかです。つまり、卒業する時にあたる6年あるいは3年後、もっと伸びている可能性が高いと考えられる学校を選ぶべきではないでしょうか。