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    大学入門講座

    大学入試を読む

    大学・短大全入時代到来が明らかに

     「大学・短大全入時代が到来する」のは、もはや時間の問題です。全入時代とは、「大学・短大の入学定員≧大学・短大志願者」になることです。つまり、大学・短大入学希望者が、進学先を考慮しなければ、全員が必ずどこかの大学・短大に入学できることを意味しています。日本中を探せば、必ず入れる大学・短大があるという意味です。

     しかし、全入のような状況は、現実には起こりえません。東京大、早稲田大などの人気大学や医師になるための医学部医学科に、浪人しても進学したい受験生はたくさんいるからです。

     浪人生が生まれた分、定員が埋まらない大学・短大が出てくることになります。その割合が高い学校では、淘汰されることに結びつきます。

     こうなった大きな理由が少子化です。表1を見てください。受験生数がもっとも多かったのは1992年です。その後、18歳人口は減少の一途をたどっています。


     92年当時の受験生数は、約121.5万人で、入学者数が79.6万人。受験生の3人に1人、42万人近くが、大学・短大に入学を希望しながら入学できなかったことになります。大変な激戦入試でした。

     それが2018年には、受験生数が約73.0万人で、1992年の入学者より少なくなっています。一方、入学者数は約68.3万人で、進学を希望しながら入学できなかった人はわずか4.7万人です。大学・短大に進学を希望しながら入学できなかった人は、およそ16人に1人と激減しているのです。

    以前に比べ、大学に入りやすくなっている

     受験生数減もさることながら、大学数が増えていることも全入時代到来に拍車をかけています。4年制大学は1992年の523校から2018年は782校へ259校、約1.5倍に増えました。新設大学だけではありません。既設の大学でも学部新設のラッシュが続き、受け皿は広がっているのです。特に4年制大学の入学者を1992年と2018年とで比べますと、およそ54.2万人から62.9万人に16.1%増えています。逆に短大入学者は減っています。この間、18歳人口は42.5%減っていますから、4年制大学への入りやすさが浮き彫りになってきています。

     このように、受験生は減り、大学入学者は増えているとなると、各大学にとって定員確保が厳しいことになります。その結果、定員割れの大学も多くなります。表2を見てください。これは日本私立学校振興・共済事業団調べのこの5年の定員割れ状況ですが、定員割れの私立大の割合は14年から18年まで45.8→43.2→44.5→39.4→36.1%と推移しています。

     定員割れ校数は、景気の状況や、18歳人口の増減の影響を受けて変動しています。リーマン・ショックによる不況が改善されたここ数年は、主に18歳人口の増減により、定員割れ校の増加と減少を繰り返しています。

     とはいえかつての不況の影響は色濃く、大学入試の志望校の選び方にも大きな影響を与えています。その第一が大学進学にかける経費の削減です。なるべく安上がりに大学に進学してほしいと考える保護者が多いのです。その結果が国公立大人気の高さに表れています。近年は確実に合格できる大学を目指す「安全志向」、浪人を避ける「現役志向」、自宅から大学に通う「地元志向」が高まっています。

     国公立大の一般入試はセンター試験の受験が不可欠です。19年のセンター試験には57万6830人が志願しました(表3参照)。昨年より5841人(1.0%)減っています。今年は、平均点が文系・理系ともにアップし、特に文系は大きく上がりました。かつては、センター試験の平均点がアップすると、国公立大の志願者が増え私立大の志願者が減り、逆にセンター試験が難化し平均点がダウンすると、受験生は弱気になって国公立大志願者が減り、私立大志願者が増える傾向にありました。センター試験が難しいことは受験生全員に共通のことなのですが、どうしてもこのような状況が毎年繰り返されてきたのです。

     ただ、近年はこうした傾向が影を潜めています。国公立大の志願者は、センター試験の平均点に関係なく連続で減少してきました。19年は8年ぶりに増加に転じましたが、国立大だけの集計では減少が続いています。国公立大人気は高いのですが、難関大学を中心に後期の縮小もしくは廃止が進んでいるため、出願したくてもできない状況にあるからです。さらに、現行の教育課程になって、国立大のセンター試験のハードルが高くなった影響もあります。理系の受験生は専門理科を2科目受ける必要があり、数学も学ぶ範囲が広がりました。そのため私立大に志望変更する受験生が増えているのです。

     一方、私立大はセンター試験の平均点に関係なく、近年、志願者が増え続けています。これは、国立大からの志望変更に加え、入試方式の多様化や受験料割引、ネット出願の普及などにより、出願しやすくなったためです。さらに、16年から大規模大学を中心に、入学者が募集定員を超える割合が厳しく制限されたため、合格者が減っています。志願者が増えているところに合格者が減少しているので、私立大入試が難化しているのです。そのため、受験回数を増やそうと、大半は出願するだけで合否が決まるセンター利用入試に出願する受験生が増えています。センター利用入試は一般方式よりハードルが高くなりがちです。そのため、合格校を確保するために、自分の学力で確実に受かる大学に出願するケースが多くあります。現在の大学入試において、センター試験は大きな影響力を持っているのです。

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