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    「イチ押しの大学」はここだ!

    大学には年々入りやすくなっています。理由は言うまでもなく少子化ですが、それだけではありません。大学や学部が増えているのです。2002年と2012年を比較しますと、受験生数は3割近く減っているのに、大学の募集人員は6%も増えています。受験生が減って、受け入れ枠が広がれば当然、大学には入りやすくなります。

    大学に入りやすくなると進学できる大学の数が増え、今度は志望校選びが難しくなります。昔も今も受験生にとって、志望校選びは大きな問題です。そんな時に役立てたいのが、エキスパートの意見です。

    大学通信は全国2000進学校の進路指導教諭に、アンケートを実施し項目別にイチ押しの大学を挙げてもらいました。676校から回答がありました。全国の進路指導教諭はどんな大学を勧めているのでしょうか。12項目について聞いてみました。各項目ごとに5校連記で記入してもらい、最初の大学を5ポイント、次の大学を4ポイント…として集計しました。

    「面倒見が良い大学」は4年連続で金沢工業大学

    まずは表Aの「面倒見が良い大学」です。トップは調査開始以来9年連続で金沢工業大でした。進路指導教諭の評価を見ても、「初年次教育が徹底している」(福島・県立高)、「教育熱心で入学時の実力より卒業時に伸ばしている」(静岡・私立高)、「担任制度があり生徒の生活面も把握している。学習のフォローがよくできている」(愛知・私立高)、「カリキュラム内容、入学時偏差値より伸ばしてくれる」(大阪・府立高)など、学習面で力をつけさせているとの評価が高くなっています。学習支援では、高校のカリキュラムや大学での基礎分野で分からないところは、何でも質問できる体制を整えています。

    それだけにとどまりません。もの作りを課外活動として行える夢考房という施設を設けています。学生がチームを作り、もの作りに取り組んでいます。今年はその中から、NHKの大学ロボコンで東大チームを破って優勝。その後、日本代表として『ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト2013ベトナム・ダナン大会』に出場し、初優勝を果たしています。

    金沢工業大の優れていた点は、大学関係者によりますと、試合の合間の調整で性能がアップしていった結果だということです。現場での改善は普段から学生同士が議論を重ねながら、問題を発見し解決していく授業を受けてきたことで身につき、それを実践したとのことです。

    大学の基本スタンスは、学生が主体的に行動することにあります。学生が自分で考えて行動することを中心に、勉強したいがわからないなら、それをサポートする教員がいる、夜遅くまで勉強したい学生には自習室があり、こういうプロジェクトを作りたいと思えば場所の提供など、できるだけ支援しているわけです。

    一方、昨年の13位から6位に躍進したのが聖学院大です。1988年に埼玉県上尾市に開学し、現在は政治経済、人文、人間福祉の3学部を擁しています。来年4月から、姜尚中教授が学長に就任することでも話題になりました。英語がわからない学生には、中学1年生の英語から復習できることを14~15年続け、学習に就職に学生第一のサポートをしています。学生数が少なく、教員と学生の距離が近いことも、このような教育を実践できている理由でしょう。

    「就職に力を入れている」明治大学は手厚い支援が高評価

    次に表Bの「就職に力を入れている大学」を見ていきましょう。トップは4年連続で明治大です。有名企業への就職実績が高く、大規模な大学にもかかわらず、就職支援が手厚く高評価です。2位には金沢工業大、3位に立命館大が入りました。

    昨年の18位から躍進して4位に入ったのが産業能率大です。1979年に開学し、自由が丘キャンパスにある経営学部と湘南キャンパスにある情報マネジメント学部の2学部があります。今年、経営学部に新しくマーケティング学科を新設しました。

    同校の授業ではアクティブラーニングに力を入れています。どんな授業かといいますと、自由が丘商店街振興組合と一緒に、振興組合の3大祭りの運営に参加したり、横浜DeNAベイスターズ球団の2軍戦で観客動員イベントを企画し、イベントスタッフとして当日の運営を行うなど、社会との連携の中で、さまざまなことを学んでいく授業です。能動的学習で能力を高めていきます。学生が主体的に動き、どんな職業についても求められるジェネリックスキルのコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力などが自然に身につくようにしています。

    さらに、地域別に見てみましょう。これは各地域の高校の評価です。北海道・東北と関東・甲信越で明治大がトップでした。北陸・東海では金沢工業大、近畿では立命館大、中国・四国では高知工科大、九州・沖縄では福岡工業大がトップでした。ほとんどの地域で、地元大学の評価が高いことがわかります。

    九州・沖縄トップの福岡工業大は「面倒見が良い大学」でも11位に入っています。エントリーシートの添削や模擬面接など、希望者だけが参加するのではなく、全学生に3年生の6月に実施し、教員と職員が共同で学生の就職の面倒を見ています。各学科に担当職員を配置し、就活の出足が鈍い学生、停滞している学生など、学生一人ひとりの進行度に応じた指導を行っているのも特徴です。さらに、大阪や東京など、地元外の就職活動に対しては交通費の補助を行っています。

    「教育力が高い」東大、京大、東北大

    次に表Cの「教育力が高い大学」を見てみましょう。ここでは東京大、京都大、東北大の旧帝大がトップ3を占めました。東京大では「進学振り分けのために学生は必死で勉強しているし、教授の授業も高度で卒業生の満足度は高い」(京都・私立高)など、進学振り分けに関する意見がありました。東京大は入試の段階では文科I類や理科I類など、6学類別に募集しています。それが2年次から3年次に進級する時に、学部学科に分かれます。これを進学振り分けと言い、希望の学部学科に進学するには、それまでの成績によって決まります。

    3大学の評価で多かったのが「大学の真の教育力は研究力によって作られるもの」(福島・私立高)という考えです。進路指導教諭は「研究力=教育力」と見ています。

    表Dの「国際化教育に力を入れている大学」に目を移しましょう。トップは国際教養大で、今回の調査で最高の1002ポイントでした。「面倒見が良い大学」「教育力が高い大学」でともに4位、「就職に力を入れている大学」で5位など高い評価を得ています。

    04年に開学した公立大で、芸術科目から体育まで、授業はすべて英語です。1年次は全学生が外国人学生と寮生活を送り、さらに1年間の留学が必須。学費の安い公立大ということもあって、秋田にありながら全国区の人気です。今年の出身高校別合格者を見ても、1位は明和(愛知)の6人で、2位が筑紫丘(福岡)4人でした。24時間図書館が開いているなど、日本の大学らしくないところが人気の理由かもしれません。就職もしっかりしており、将来は世界で活躍したいなど、志望が明確な受験生にはうってつけでしょう。ただ、授業がすべて英語ですから、一定レベル以上の学力がないと、入学後苦労する可能性もあります。

    2位は国際基督教大、3位は上智大、4位は早稲田大、5位は立命館アジア太平洋大でした。トップの国際教養大を合わせた、この5大学は昨年、「グローバル5大学連携協定」を締結しています。日本の高等教育のよりいっそうのグローバル化推進を目的にしています。

    「研究力」「改革力」が高い大学はここ!

    表Eの「研究力が高い大学」では、教育力との関連を指摘する進路指導教諭も多く、表Cの「教育力が高い大学」と顔ぶれが似ています。

    トップの東京大、2位の京都大、3位の東北大まで表Cと同じ順位でした。理系学部を持つ大学が上位に来ており、文系学部だけの大学はランキングに入っていないのも特徴です。

    表Fの「改革力が高い大学」ではトップは立命館大で、続いて東京大、明治大、京都大、東洋大の順になりました。立命館大は長年、大学改革の先頭を走り、15年に新しく大阪茨木新キャンパスを開設予定です。2位の東京大と4位の京都大は16年入学者から、推薦やAO入試など新しい入試を実施することが評価されたのでしょう。

    3位の明治大は積極的な改革で人気を集め、4年連続志願者日本一となっています。今年も中野キャンパスを新設し、新しく総合数理学部を開設し、国際日本学部が和泉キャンパスから移転しました。5位の東洋大もキャンパス整備、学部・学科の新設・改組を積極的に行ってきました。さらに来年入試からはすべてネット出願に切り替わります。

    さまざまな指標に大学の個性や特徴が見える

    表Gの「小規模だが評価できる大学」ではトップは国際教養大で、2位に武蔵大、以下、国際基督教大、成城大、成蹊大の順でした。

    2位の武蔵大は“ゼミの武蔵”として知られています。4年間学ぶゼミナール教育に力を入れ、「面倒見が良い大学」で3位、「就職に力を入れている大学」で11位と高く評価されています。

    表Hは「入学後、生徒の満足度が高い大学」です。トップは東京大、以下、東北大、京都大、早稲田大、慶應義塾大、明治大と続きました。上位はいわゆる難関大ばかりで、難易度も高く、第一志望で合格した受験生も多いことから、満足度が高いのかもしれません。

    表I の「入学後、生徒を伸ばしてくれる大学」のトップは東北大、続いて金沢工業大、東京大、国際教養大の順でした。東北大は「面倒見が良い大学」2位、「教育力が高い大学」「研究力が高い大学」も3位です。東北大は推薦入試に近いAO入試や、推薦入試を高校の教員の協力を得て実施しているので、高校の教員に情報発信ができていることも高評価につながっているのかもしれません。

    進路指導教諭が勧める大学はここだ!

    表J-1は「生徒に勧めたい国公立大」です。東京大、京都大、東北大の順で、ベスト10には旧7帝大と一橋大、東京工業大の国立難関9大学が入りました。残り1校は公立の国際教養大です。11位以下でも準難関大と言われる筑波大、神戸大、千葉大などが続き、難易度通りの評価となっています。

    一方、表J-2の「勧めたい私立大」を見ると、トップは慶應義塾大で次いで早稲田大です。この2校から離れて上智大、国際基督教大、同志社大と続きました。国公立大と同じく難関大の評価が高くなっています。

    2014年度入試はどうなるか――
    進路指導教諭はこう予測する

    アンケートでは来年入試の傾向も聞いています。グラフ1を見てください。「来年のセンター試験志願者数はどうなるか」の結果です。トップは「今年と変わらない」46%で、次いで「今年より増える」32.4%、「今年より減る」14.6%でした。今年は18歳人口が昨年より3.4%増えましたが、来年は4%減となるため、受験人口は減少します。そのため、今年と変わらない志願者数だとしても、実質的にはセンター試験受験者の割合は高くなります。センター試験の志願者が増えるということは、国公立大の人気が上がるということでしょう。

    グラフ2はその「来年の国公立大人気」について聞きました。「国立大人気は少しアップする」33.1%、「国立大人気はさらにアップする」29.1%、「公立大人気は少しアップする」28.1%など、アップすると考えている進路指導教諭が多くなっています。逆にダウンするは公立大2.4%、国立大1.5%に過ぎず、来年入試でも国公立大人気は高いことがわかります。

    グラフ3来年入試はどうなるかについて聞いたものです。トップは「現役での進学志向がさらに強くなる」で68.5%。次いで「経済不況もあって安全志向がさらに強まる」57.1%、「地元志向が強まる」54.3%で、この3つが5割を超えました。

    今年の入試の特徴だった「現役志向」「安全志向」「地元志向」が来年も続くと見ているようです。ただ、今年は昨年と違って「現役志向」がトップになり、昨年トップの「安全志向」と入れ替わる結果となりました。これには理由があります。15年入試から数学と理科が新課程に切り替わり、16年には全面的に新課程に切り替わるからです。今回の学習指導要領の改定は、これまでのゆとり教育とは反対の“脱ゆとり”で、学ぶ範囲が広がっているのです。浪人すると不利だと考える受験生が多いようです。高校の進路指導教諭がこう話します。

    「新課程に変わるということに、不安を覚えている受験生が多く、中身をよく見ていない気がします。下級生の教科書を見て、自分たちの時より厚くなっているだけで、けっこう不安を覚えているようです。センター試験も旧課程履修者のための措置を取りますから、それほど不安を感じる必要はありません」

    グラフ4は「生徒に人気の大学はどのような大学か」について聞いた結果です。トップは「自分のしたい勉強ができる大学」67%で、2位に「資格が取得できる大学」65.4%、以下「社会的評価・イメージが良い大学」6 3 % 、「就職に有利な大学」62.9%、「知名度が高い大学」59.8%、「家から通える大学」57.7%の順で、ここまでが5割を超えています。この6項目にあまり差はなく、受験生が大学選びで重視するポイントと見ていいでしょう。なかでも就職関連が上位に来ているのが特徴です。

    これはグラフ5でもうかがえます。「受験生に受け入れられる改革」のトップは「キャリア教育など就職支援」60.6%で、次いで「資格取得支援」48.8%です。この二つが3位以下と大きな差をつけています。受験生の最大の関心事は就職だということがわかります。

    グラフ6の「受験生は志望校を選ぶ際に、何を重視しているか」では、トップが「偏差値」79.4%、「大学の知名度」66%、「入試科目」63.5%、「学部・学科・研究内容」59%、「就職状況」54%の順です。入試に関する項目が、やはり志望校選びの決め手になっているようです。

    グラフ7の「来年入試で人気になりそうな学部・学科系統」を見ますと、トップが看護で、実に7割の進路指導教諭に支持されています。2位以下も医療技術系、工学系、薬と続き、理系人気が高いことがわかります。最近の入試の傾向である“理高文低”が簡単にくつがえるわけではなく、しばらく続くということです。多くの受験生は『あの大学よりこの大学、あの学部よりこの学部』で選び、不況で就職が厳しいと聞くと、就職に強い大学や学部系統を選ぶ傾向が読み取れます。

    グラフ8では「就職が厳しいことが志望校選びにどう影響するか」について聞きました。「資格に直結した学部・学科が人気」65.5%、「就職力の高い有名大学が人気」51.9%、「理系人気がさらに高まる」38%の順です。資格取得によって就職を乗り切る、いわば就職の安全志向が高まっていることがわかります。

    センター試験出願が始まり、いよいよ本格的な受験シーズンに突入しました。推薦入試ならすぐに始まり、一般入試であれば、どこの大学を受けるかは、これからの模試の成績をにらみながら決めていくことになります。受験生にとっては初めての大きな選択。676人の進路指導教諭が勧める大学の情報を参考に、志望校を選んでほしいものです。