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    熱いお湯にご注意ください? 【高校生のための「法学」講座 13】


    ップラーメンのふたに「熱いお湯にご注意」「やけどに注意」などの表示を見たことがある人は多いと思います。なぜこんなあたりまえのことを書くのだろうと思ったことはありませんか?

    そこで、実際にカップラーメンにお湯を注いで食べようとした人が、やけどをしてしまった場合を考えてみましょう。治療費や、仕事を休んだことによる収入減、精神的苦痛などの賠償を製造メーカーに求めることができるでしょうか?不注意でお湯をこぼしてしまった場合や、カップラーメンのうつわの材質や形状などに原因が隠れている場合など、さまざまな場合があるでしょうが、一体、どういう場合に損害の賠償を求めることができるのでしょう?

    損害賠償についての基本的なルールを知ろう

    害賠償についての基本的なルールを定めているのは民法です。民法は社会で活動するすべての人(企業も含みます)に適用される基本ルールですが、そこには「故意や過失によって」他人の権利や法律上保護されるべき利益を侵害し、その結果として他人に損害を与えた者は、その損害を賠償しなければならないと定められています。

    これによれば、メーカーを相手に損害の賠償を求めようとする人は、メーカーの「故意や過失によって」権利や利益を侵害され、その結果として損害を受けたことを主張して、証明しなければなりません。

    PL法を知っていますか?

    ころが「故意や過失を証明する」というのは簡単なことではありません。メーカーが過失(不注意)で、事故の起きやすい製品を製造・販売したということを証明するためには、専門的な分析や、資料の収集が必要ですが、普通に暮らす人々が簡単にできることではありませんから、結局被害の救済は望めなくなってしまいます。

    そこで制定されたのが民法の特則である製造物責任法(1995年施行)です。この法律により、人々は「製造物(製品)の欠陥によって」身体、生命、財産に損害が生じたことを証明しさえすれば、原則としてメーカーに対して損害の賠償を求めることができるようになりました。

    注意書きにも大切な意味がある

    の結果、メーカーは、自社が製造・販売する製品の欠陥に一層の注意を払わなければならなくなりました。製品自体の安全性はもちろん、その使用法に関する注意書きにまでことこまかに検討し、間違いのない製品を社会に送り出すことに細心の注意を払う必要が出てきたのです。

    つまり、「熱いお湯にご注意ください」「やけどに注意」という、一見あたりまえの、大きなお世話のようにも見える注意書きの背後には、製造物責任法に適切に対応しようとするメーカー各社の苦心が隠れているのです。

    社会が変われば法も変わり、法が変われば社会も変わります、社会と法のかかわりに目を向けてみると、当たり前の景色に、思いもよらない面白さが隠されているものです。

    [最終更新日 2019.02.15]

    ※イメージ写真は、立正大学法学部 舟橋 哲ゼミの授業風景です